有力選手が続々と敗退するなかで4位通過した楢崎智亜

男子は波乱の展開に。原田、楢崎智に加え、4名が初決勝へ ボルダリングジャパンカップ2020【男子準決勝】

 9日午前、第15回ボルダリングジャパンカップ(駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場=東京都・世田谷区)の準決勝が行われ、男子では16歳の川又玲瑛を筆頭に、井上祐二、原田海、楢崎智亜、小西桂、佐野大輝の6名が勝ち抜きを決めた。

 男子準決勝は、有力選手が次々に敗退する波乱の展開となった。楢崎明智や杉本怜、さらに昨年優勝の石松大晟、同3位の土肥圭太、16~18年3連覇の藤井快が第1課題、第1課題で躓く。後がない状況で追い上げをみせたが、決勝進出の6位以内には届かず。上記5名のうち、決勝進出はまさかのゼロとなった。

 世界選手権で優勝した実績を持つ原田、楢崎も苦戦する。原田は第2課題、楢崎は第1課題を決めきれず。一時は決勝進出が危ぶまれたが、何とか盛り返して3、4位で最終ラウンドへ進んだ。 

 一方、会心のパフォーマンスをみせたのが初めての決勝進出となった4名だ。まずは予選11位だった井上が第1課題を初登して雄たけびを上げると、第3、第4課題も粘りのトライで登りきり、大きなガッツポーズを繰り出して暫定首位に躍り出る。

 昨年7位で準決勝敗退となった川又もTOPを掴むたびに咆哮を上げ、第4課題も見事な保持で完登し井上をアテンプト数の差で上回った。川又は楢崎智亜が大会前の注目選手として挙げた16歳の有望株で、決勝でも上位進出が期待される。

 昨年のアジア選手権を制した19歳の小西、これまでユース公式戦で決勝進出のなかった16歳の佐野も5、6位で続き、有力選手たちを上回っている。

 フレッシュな顔ぶれとなった男子決勝は、女子決勝終了後の15時45分開始を予定している。

<敗退選手コメント>


石松大晟(7位)
「調子は悪くなかったので、決勝には残りたいと思っていたが、課題がマッチしなかった。特に前半は何も出来なかった感じ。1、2課題はムーブがまったくイメージできませんでしたが、気持ちを切り替えて、3、4課題は登ることができた。ワールドカップに出場できるか微妙なラインになってしまったので、出場できるところではしっかり決勝まで狙っていきたい」


土肥圭太(9位)
「課題がどれも発想力系だったので思いついたら登れるというものだった。その思いつくというところが自分にはなかった。去年の代表メンバーの藤井選手だったり、石松選手だったり、そういう選手でも残れていない中で、楢崎選手や原田選手のようにこれが正解という最適解以外でもゴリ押せるだけの突出した力があればできていたはず。発想力を磨いていくか、最適解以外でも登れる突出したものを身につけるか、今後のトレーニング方法が試されるような内容だった」


藤井快(11位)
「普通に弱かったと思うので仕方ない。実力が足りなかった。調整し切れていなかったというのもあるし、反省するところは色々とあった。3連覇した一昨年は12月からBJCに向けて(余裕をもって)トレーニングしていたが、今回は前々日までしっかりやってという感じだった。国際大会の出場資格を持っているというところで甘さがあった。ただ、そんな中でも単純に実力が出せないという部分があったので力量不足だったと思う。10位よりも下の順位だったので非常に残念」


楢崎明智(12位)
「オフシーズンはコンバインドを意識して練習を積んできた。調子自体は悪くなかったが、今日の課題については『どうしたらいいんだろう?』という感じだった。自分ではムーブは読めるほうだと思っていたが、まったく対応できなかった。2課題目でゾーンを取れた時に決め切らないとダメだった。勝負強さが足りない。次のスピードジャパンカップ、リードジャパンカップでは『優勝』と言いたいところだが、先ずは決勝に残ること。今の自分にできるベストをしっかり出していきたい」

<準決勝リザルト>

1位:川又 玲瑛(栃木県立宇都宮南高等学校)/3t3z 10 10
2位:井上 祐二(福井県山岳連盟)/3t3z 11 8
3位:原田 海(日新火災)/2t3z 7 9
4位:楢﨑 智亜(TEAM au)/2t3z 8 10
5位:小西 桂(慶応義塾大学)/2t3z 10 11
6位:佐野 大輝(ウィルスタッフ)/2t3z 11 12
――――――
7位:石松 大晟(Base Camp)/2t2z 4 2
8位:杉本 怜(マイナビ)/2t2z 9 9
9位:土肥 圭太(鹿児島県山岳・スポーツクライミング連盟)/1t4z 1 15
10位:渡部 桂太(住友電装)/1t3z 2 5
11位:藤井 快(TEAM au)/1t3z 4 6
12位:楢﨑 明智(TEAM au)/1t2z 2 5
13位:北江 優弥(-)/1t2z 4 7
14位:今泉 結太(日本ウェルネススポーツ大学)/1t2z 6 7
15位:波田 悠貴(日本体育大学)/0t4z 0 11
16位:山内 響(岩手県山岳・スポーツクライミング協会)/0t2z 0 5
17位:高田 知尭(鳥取県山岳・スポーツクライミング協会)/0t1z 0 2
18位:星 優輝(群馬県山岳連盟)/0t1z 0 8
19位:山内 誠(-)/0t1z 0 9
20位:山口 賢人(-)/0t0z 0 0

※上位6名が決勝進出
※左から氏名、所属先、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

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CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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