緒方良行がボルダー国内初制覇 苦手スラブで会心の登り【ボルダージャパンカップ2024】
12日、ボルダージャパンカップの男子決勝(佐賀県多久市/九州クライミングベースSAGA)が行われ、26歳の緒方良行が大会初優勝を果たした。
ボルダー&リード種目でパリ五輪代表に内定している楢崎智亜、安楽宙斗をはじめ、通谷律、楢崎明智、緒方、藤脇祐二の6人が前日の準決勝を勝ち抜いてファイナリスト6人に名を連ねた。多くの観客が詰めかけた中で始まった第1課題。スイングからの飛びつき、そしてゴールへのランジとダイナミックなムーブが続いた中で、藤脇、安楽、緒方、通谷が2トライ以内に完登する。楢崎明智、智亜は最終ムーブで苦戦。イージーかと思われた課題で完登を逃してしまった。
第2課題はキャンパシングを挟みながら進むなど高い負荷のかかる課題で、安楽はゾーンすら取れず。3番手の緒方が持ち前のフィジカルで突破を図るも失敗、楢崎智亜もヒールフックなどを駆使して攻略を試みたがゾーン獲得にとどまった。
大きな動きはなく、迎えた緩傾斜壁の第3課題。ここでスラブを苦手とする緒方が真価を発揮する。途中でノーハンドとなるルートを試行錯誤しながら複数回トライ。すると絶妙なボディバランスでゴール前の粒ホールドを踏むことに成功し、ついに完登した。ガッツポーズを繰り返し、観客は今ラウンドで一番の大歓声に湧いた。続いて楢崎明智が1完登目を記録。さらに兄の智亜が繊細さが求められる課題を高精度で登り、最初のアテンプトで仕留めた。
最終課題は最も傾斜の強い壁に設けられた。再び負荷のかかる高強度の内容で、窮屈な動きとなる中盤からの脱出が困難となった。ここまで唯一2完登の緒方は完登すれば優勝の状況でスタートする。しかしノーゾーンに終わり、楢崎明智にも優勝の可能性が残った。その楢崎は最初のトライでこの課題初のゴールタッチ。その後は失速してしまい、優勝のゆくえは緒方か最後に登る楢崎智亜のどちらかに絞られた。
完登で逆転優勝が決まる楢崎智亜。はじめのトライでゾーンに達するも、それ以降は難関を乗り越えられず。1完登4ゾーンに終わったことで、緒方の初優勝が決まった。佐賀県との県境・福岡県久留米市出身の緒方は馴染み深い九州の地での戴冠となった。2位には楢崎智亜、3位には4年ぶりの表彰台となる藤脇が入った。4位は楢崎明智、5位は通谷、6位は安楽だった。
<決勝リザルト>
1位:緒方 良行(B-PUMP)/2T 3z 8 4
2位:楢崎 智亜(無所属)/1T 4z 1 4
3位:藤脇 祐二(大阪府山岳連盟)/1T 3z 2 6
4位:楢崎 明智(日新火災)/1T 3z 2 8
5位:通谷 律(佐賀県山岳・スポーツクライミング連盟)/1T 2z 1 3
6位:安楽 宙斗(千葉県立八千代高等学校)/1T 2z 1 4
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CREDITS
取材・文 編集部 / 写真 小野正文 / 株式会社C.P.I.