男子優勝を果たした安楽宙斗(中央)

安楽が圧巻の完登で2連勝 女子は森が銀【リードW杯2023 第5戦コペル大会】

 クライミングW杯リード第5戦決勝が9日(日本時間10日)、スロベニアのコペルで行われ、安楽宙斗が男子唯一の完登でW杯2連勝を果たした。女子は森秋彩が2位で銀メダルを獲得した。

 前日午前の予選で日本勢は男子9人中8人、女子6人全員が準決勝に進出すると、同午後の準決勝では安楽が2位に8手差をつけて首位に立ち、女子は森が2位、谷井菜月が4位、久米乃ノ華が8位で決勝に駒を進めた。

 先に行われた男子決勝は非常にタフなルートとなり、5人が競技を終えてトップはアルベルト・ヒネス・ロペス(スペイン)の高度23。終盤に進めない展開が続いた。しかし6番手のジェシー・グルーパー(米国)は肘が上がり苦しい状況に見えてからレストで回復後、一気に最高到達高度を42+に更新した。7番手のトビー・ロバーツ(英国)は右足トウがかかり切らずに落下して21+。安楽の出番となった。

悠々と登っていく安楽

 前回のブリアンソン大会でリードW杯初優勝を遂げた16歳は、これまでの選手がなぜ苦戦したのかわからないほどに余裕の様子で高度を上げていき、1分45秒ほどを残して最後の支点にクリップをかけた。別次元の登りで決勝唯一の完登を決め、W杯2連勝。W杯年間ランキングでは最終戦を残し2位に1000ポイント以上の差をつけ、ボルダーとの年間優勝W獲りという快挙が確実となった。

 女子決勝は、ファイナリストの選手紹介から自国の英雄、ヤンヤ・ガンブレットに対するスロベニア国民の大声援が会場に響いた。斜め左上に進むルートが取られ、中盤までは比較的登りやすい内容も終盤に入ると一気に難易度が上がる印象で、6番手を終えてトップはヴィータ・ルーカンの40+。こちらも地元スロベニアの実力者はチョークバッグが落ちるアクシデントに見舞われながらも終盤に達した。

ガンブレットに声援を送る観客たち

決勝ルートを登る森

 7番手は森。先月の世界選手権で初のリード女王に輝いた19歳はじわじわと上部へ進み、持ち手が悪くなる中で着実にゴールに迫っていく。しかしゴール取りの一手前で落下。完登はならなかったが44+で首位に浮上した。最後に登るガンブレットは大観衆を背に森を上回るペースで終盤に突入。レストを取り入れて体力を回復させると、ゴール取りのランジを完遂して女子決勝初完登。熱狂するホームの観客に手を振って応え、昨年大会で森に敗れた雪辱を果たした。谷井は5位、久米は7位だった。

順調に完登へと迫るガンブレット

最後はランジを決めて完登を果たした

女子表彰台=(左から)森、ガンブレット、ルーカン

<決勝リザルト>

[男子]
1位:安楽 宙斗(JPN)/TOP
2位:ジェシー・グルーパー(USA)/42+
3位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)/23
4位:トビー・ロバーツ(GBR)/21+
5位:アレクサンダー・メゴス(GER)/21+
6位:ヤニック・フローエ(GER)/21
7位:サム・アベズー(FRA)/20+
8位:ルカ・ポトカ(SLO)/18+
―――――
9位:緒方 良行(JPN)※準決勝進出
10位:鈴木 音生(JPN)※準決勝進出
11位:樋口 純裕(JPN)※準決勝進出
13位:本間 大晴(JPN)※準決勝進出
13位:吉田 智音(JPN)※準決勝進出
15位:小俣 史温(JPN)※準決勝進出
17位:楢崎 明智(JPN)※準決勝進出
36位:百合草 碧皇(JPN)

[女子]
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/TOP
2位:森 秋彩(JPN)/44+
3位:ヴィータ・ルーカン(SLO)/40+
4位:ソ・チェヒョン(KOR)/38+
5位:谷井 菜月(JPN)/33+
6位:ラウラ・ロゴラ(ITA)/33+
7位:久米 乃ノ華(JPN)/31+
8位:ミア・クランプル(SLO)/11+
―――――
9位:伊藤 ふたば(JPN)※準決勝進出
12位:中川 瑠(JPN)※準決勝進出
26位:小池 はな(JPN)※準決勝進出

※左から順位、氏名、所属国、決勝成績(高度)
※同高度の場合は前ラウンド順位の高い選手が上位

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編集部 / 写真 © Jan Virt / IFSC

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