森秋彩がリード初戦で銀 日本男子最高は安楽宙斗の4位【リードW杯2023 第1戦インスブルック大会】
クライミングW杯リード第1戦の男女決勝がオーストリア・インスブルックで18日(日本時間19日)に行われ、女子で森秋彩が銀メダルを獲得した。男子は安楽宙斗が日本勢最高の4位に入った。優勝は女子がヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)、男子がサッシャ・レーマン(スイス)。
17日の予選は前日のボルダー決勝で優勝した安楽が1完登するなど2本のルートとも1位の成績で首位発進。男子は日本勢9人全員が準決勝に進んだ。女子は昨シーズンのリードW杯で2戦2勝だった森が3位に入るなど日本勢4人が予選を通過した。同日(日本時間18日)の準決勝では男子で樋口純裕が3位、本間大晴が4位、安楽が5位、吉田智音が8位タイ、女子で森が2位に入り決勝に進出した。本間は3月に左足首の靭帯を断裂するケガを負い手術を受けるも懸命なリハビリを経て大舞台に駆け上がった。
先に行われた女子決勝は、2012年に優勝経験のある29歳のベテラン、エレーヌ・ジャニコ(フランス)が序盤の8手目で落下する思わぬ展開で幕を開ける。2番手のブルック・ラバトゥ(米国)以降は傾斜の強い中でピンチホールドの続く25手目前後で失敗していった。5番手のジェシカ・ピルツ(オーストリア)が25+で終わり、依然として中盤から先に進めない状況が続いた。
ここからは準決勝上位3人のガンブレット、森、ソ・チェヒョン(韓国)の出番。ガンブレットは淡々と難所を突破し、最高到達点を10手以上も更新する39+でフィニッシュ。それでも完登まで10手弱は残っていた中で、次に登る森も順調に上昇していく。徐々にガンブレットの記録に近づいていったが33+で力尽きてしまった。最後のソはムーブ選択を誤ったのかまだ余力を残した25手目でフォール。この結果、ガンブレットがこのインスブルック大会でボルダーとの2冠を達成。森が2位で銀メダル、地元オーストリアのピルツが3位で銅メダルを獲得した。
男子決勝は先頭のアレクサンダー・メゴス(ドイツ)が中間地点で滞在時間の長いレストを挟むと、紫のホールドが続く終盤パートに突入するところで落下して44+の成績を残す。後続はこの記録を中々上回ることができない。吉田はメゴスに若干及ばず42+。今年のW杯で2勝するなどボルダーに強く、リードを得意とする選手たちに交じりサプライズで開幕戦からの決勝進出を果たしたメジディ・シャールック(フランス)も42+。初のリードW杯出場でファイナリストに名を連ねた安楽も42+だった。
安楽が準決勝順位へのカウントバックでシャールックを抜き暫定2位に立ったあと、本間は40、樋口は42で競技終了。残すはインスブルックを拠点とするベテランのヤコブ・シューベルト(オーストリア)と準決勝首位のレーマンのみとなった。シューベルトは細かくレストを取り入れ、足技も使いながら体にかかる負荷を分散させていくも記録は再び42+。レーマンは腕が張る中でパワーで最後の数手を伸ばし、高度はメゴスに並ぶ44+。準決勝順位の上だったレーマンが2019年ヴィラール大会以来となるW杯2度目の頂点に立った。4位の安楽、6位の吉田はシューベルトと同じ高度だったが、準決勝の成績により表彰台には届かなかった。樋口は7位、本間は9位だった。
日本勢は第1戦から森が銀メダルを手にし、男子では表彰台は逃したものの4人を決勝に送り込むなど悪くない結果を残した。次回W杯は今月30日から7月2日にかけて、スイス・ヴィラールでスピード第4戦、リード第2戦が予定されている。
<決勝リザルト>
[女子]
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/39+
2位:森秋 彩(JPN)/33+
3位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/25+
4位:ブルック・ラバトゥ(USA)/25+
5位:ソ・チェヒョン(KOR)/25
6位:ナタリア・グロスマン(USA)/25
7位:ミア・クランプル(SLO)/24+
8位:エレーヌ・ジャニコ(FRA)/7+
―――――
13位:野中 生萌(JPN)※準決勝進出
21位:小池 はな(JPN)※準決勝進出
26位:谷井 菜月(JPN)※準決勝進出
39位:中川 瑠(JPN)
48位:伊藤 ふたば(JPN)
[男子]
1位:サッシャ・レーマン(SUI)/44+
2位:アレクサンダー・メゴス(GER)/44+
3位:ヤコブ・シューベルト(AUT)/42+
4位:安楽 宙斗(JPN)/42+
5位:メジディ・シャールック(FRA)/42+
6位:吉田 智音(JPN)/42+
7位:樋口 純裕(JPN)/42
8位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)/42
9位:本間 大晴(JPN)/40+
―――――
10位:百合草 碧皇(JPN)※準決勝進出
12位:小俣 史温(JPN)※準決勝進出
15位:楢崎 智亜(JPN)※準決勝進出
17位:楢崎 明智(JPN)※準決勝進出
18位:緒方 良行(JPN)※準決勝進出
CREDITS
文 編集部 / 写真 © LenaDrapella / IFSC