(左から)2位の楢崎智亜、優勝の藤井快、3位の緒方良行

日本男子が再び表彰台独占! 6人中5人を日本勢が占めた決勝で藤井快が逆転優勝【ボルダリングW杯2022第2戦 ソウル大会】

 今シーズンのクライミングW杯ボルダリング第2戦男子決勝が8日、韓国・ソウルで行われ、藤井快が1位、楢崎智亜が2位、緒方良行が3位に入り日本勢が表彰台を独占。W杯ボルダリングでの表彰台独占は史上3度目、日本としては昨年以来2度目の快挙となった。優勝の藤井は最終課題での逆転でW杯通算5勝目を挙げた。

 7日の予選で藤井が首位、8日の準決勝で楢崎智が首位に立つなど日本人が上位を牽引し、決勝にはこの2人に加えて楢崎明智、土肥圭太、緒方が進出。ファイナリスト6人のうち5人を同国勢が占める近年では例のない展開となった。

 決勝第1課題は、先頭の緒方が華麗にランジを決めるなどして完登発進。土肥、ポール・ジョンフ(フランス)、楢崎明は失敗するも、藤井、楢崎智は4アテンプト目に登り切り、続くスラブの第2課題は全員が完登を記録した。首位の緒方は第3課題、後半部で足場が不安定となるも高いフィジカル能力を駆使してトップホールドまで到達。藤井、楢崎智もこれに続き、この3人が3完登3ゾーンで並び優勝争いを繰り広げる。完登に要したアテンプト数の差で緒方が1位を維持したまま最終課題を迎えた。

 2トライ以内の完登で自力優勝が決まる緒方は、強傾斜の最終課題で着実に高度を上げていくもゴール下のムーブに失敗。ここまですべて2トライ目に完登する抜群の修正力を発揮してきたが、その勢いはストップした。ジョンフも力尽きたことで、優勝の可能性は緒方、藤井、楢崎智に残り、そのゆくえは後者2人の結果次第に。すると5番手の藤井は2トライ目、左足を壁に残しながらムーブを起こしたことで緒方らが落下したパートを攻略。一度はゴール落ちしたが気落ちすることなく3トライ目に挑み、制限時間残り2秒で完登。観客からの大歓声に応えてガッツポーズを繰り出した。

最終課題を完登し、ガッツポーズで雄たけびを上げる藤井

 首位に浮上した藤井を上回るには2トライ以内での完登が必要となった楢崎智は序盤で苦戦。アテンプト数を重ねてしまい、優勝の目が消えてしまったが、4トライ目で意地の完登を刻んだ。この結果、最終課題を完登した藤井、楢崎智が順位を上げて、完登に要したアテンプト数「1」の差で上回った藤井がW杯では自身4年ぶりとなる優勝に輝いた。緒方は3位でフィニッシュし、昨年6月のインスブルック大会以来となる日本勢のW杯表彰台独占が実現した。順番は異なるが、その顔触れは同大会の再現となった。5年ぶりのボルダリングW杯決勝を、さらに兄と初めて同W杯決勝を戦った楢崎明は2完登で5位、昨年の日本代表落選から復活を遂げた土肥は1完登で6位だった。

女子表彰台=(左から)オリアーヌ・ベルトン、ナタリア・グロスマン、ブルック・ラバトゥ(写真:© Dimitris Tosidis/IFSC)

 一方の女子も同日に決勝が行われ、米国のナタリア・グロスマンが圧勝。予選、凖決勝、決勝のすべてで1位となり、各ラウンドを通してただ一人となる全課題完登を果たした。東京五輪金メダリストで開幕戦も制したヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)が休養のため今シーズンの残りのボルダリングW杯を欠場する中、昨年急成長を遂げ、今やガンブレットと女子2強を形成するグロスマンは、完登が優勝の条件となった決勝最終課題でもプレッシャーに動じず一撃。その強さを遺憾なく発揮した。

 日本勢では青柳未愛が出場2戦目にして初めて予選、準決勝を通過。決勝では完登ゼロに終わったものの、準決勝を3位で突破するなど確かな爪痕を残した。開幕戦で自身初のW杯予選敗退を喫した野中生萌は8位、2大会連続の決勝進出を狙った伊藤ふたばは15位で、いずれも準決勝止まりだった。

<決勝リザルト>

[男子]
1位:藤井 快(JPN)/4t4z 11 4
2位:楢崎 智亜(JPN)/4t4z 12 8
3位:緒方 良行(JPN)/3t4z 6 7
4位:ポール・ジョンフ(FRA)/2t4z 4 11
5位:楢崎 明智(JPN)/2t3z 3 6
6位:土肥 圭太(JPN)/1t4z 2 14
――――――
11位:高田 知尭(JPN)※準決勝進出
15位:井上 祐二(JPN)※準決勝進出
20位:吉田 智音(JPN)※準決勝進出
21位:石松 大晟(JPN)

[女子]
1位:ナタリア・グロスマン(USA)/4t4z 7 5
2位:オリアーヌ・ベルトン(FRA)/3t4z 5 5
3位:ブルック・ラバトゥ(USA)/3t3z 6 5
4位:スターシャ・ゲヨ(SRB)/2t4z 3 13
5位:カミラ・モローニ(ITA)/1t2z 6 8
6位:青柳 未愛(JPN)/0t3z 0 4
―――――
8位:野中 生萌(JPN)※準決勝進出
15位:伊藤 ふたば(JPN)※準決勝進出
28位:倉 菜々子(JPN)
38位:菊地 咲希(JPN)

※左から順位、氏名、所属国、決勝成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

CREDITS

編集部 / 写真 JMSCA

※当サイト内の記事・テキスト・写真・画像等の無断転載・無断使用を禁じます。

back to top