森秋彩「時を戻したい」【リードジャパンカップ2024|準決勝・決勝後の選手コメント】

 24日に行われたリードジャパンカップ(以下LJC)女子決勝は、20歳の森秋彩(あい)が高度46+の最高到達点をマークして5年連続7度目の優勝を果たした。2位には小武芽生、3位には初出場の15歳・小田菜摘が入った。以下、女子ファイナリストと準決勝敗退選手のコメント一覧。

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森秋彩(優勝)
「とにかくゴールを取りたかった。優勝したことより悔しい。時を戻してもう一度やりたいくらい。オブザベーションの時点でゴールのシェイプが見えづらく、丸みを帯びていると予測していて、余力を残して動いてしまった。勢いが余ると止まらず、身体が振られ過ぎてしまった時にひっくり返る可能性もあった。でも手が触れてガバだとわかったので、それなら思い切り飛べばよかったと未練が残る。上半身を引くのと足を蹴るタイミングの連動性がうまくいかなかったし、単純な脚力や初速の遅さなど(失敗には)いろいろ要因があったと思う。

 (LJC5連覇について)あまり気にしていなかったし、気にすると緊張するので考えていなかった。1度だけならまぐれで勝てることがあると思うけど、5回優勝となると実力をその都度出し切れていることだと思うので自信もつく。同じ優勝でもいろいろな反省点がこの5大会にはあった。それぞれ思い返してみて、より強いクライマーになっていきたい」


小武芽生(2位)
「表彰台と日本代表に戻って来られたことは素直にうれしい。今年は絶対に失敗できないなと緊張していたけど、大会が嫌になってしまうようなネガティブなメンタルではなく、落ち着いて集中できるメンタルで登ることができた。佐賀の壁は私のタイプだったのでそれも相まって楽しく登れた。

(岩場にも登り行く中で今大会をどのように位置づけて臨んだ?)岩を登るには強くなければ完登できない。実力を上げると試合でも強くなれるし、試合でのメンタルや勝負感も、岩場での本気トライにいかせると思っている。ありがたいことに私は両方をできる環境にあるので、それぞれに位置付けは特になく本気でクライミングをしている。(今後の目標は?)最近はフラッシュ能力に比べてオンサイト能力がかなり低いので、対応能力を上げたり、より登っているイメージをしたりしてオブザベもできるよう頭もしっかり鍛えたい」


小田菜摘(3位)
「初めての決勝で表彰台に立てて、素直にうれしい。最後の白取りは左手でいこうと思っていたけど、紫が右手で取れなくてどうしようと思っていたら左のヒールがかかり、このやり方でいけると思った。ムーブが少しわからなかったけど、オブザベで想定していた内容とは違う方法を思いつけたことがよかった。

 (これがシニア2大会目の出場。ユース大会の課題との違いは?)シニアの大会課題は下からも少し気持ち悪いというか難しい印象。決勝に残りたいとは思っていたけど、まさか残れるとは思っていなかった。自分の実力が出せてよかったし、手応えは感じている。将来は五輪などに出場して、クライミングの楽しさを広めていけるような選手になりたい」


伊藤ふたば(4位)
「今はOQS(5、6月の五輪予選シリーズ)に向けてベースアップのトレーニングをしている時期。今大会に向けたトレーニングはしていなかった中でも決勝に残れたのはよかった。ただ最後は足が滑って終わってしまったので、もっと出し切りたかった。準決勝は特に持久力が試されるルートだったと思うが、しっかり決勝に残れたことは手応えを感じる。下部がガタガタな登りだったけどそれでも上部まで行けたのは持久力がついてきたおかげだと思う。

 (今回見えた課題は?)予選からレストのポイントや登りのリズムがよくなかったので、そういう部分をOQSに向けて上げていきたい。後半の垂壁面に入ってからの粘り、足順を明確にしてもっと動けるようにしていきたい。前回のボルダージャパンカップ(以下BJC)と今大会で見えた課題をしっかりトレーニングしてOQSに臨みたい」


久米乃ノ華(準決勝11位)
「(BJCは欠場していたが?)左手の中指の腱をケガしてしまった。BJC前にリードのトレーニングをしていて、腕が張って指に頼り過ぎてしまい負荷がかかってしまった。予選ではそこまで指は気にならなかったけど、久々に本気のトライをしたので準決勝では少し痛みが出た。今大会に出場しないとW杯の出場権を取れない状況だったので出場したが、(代表入りは)ダメだと思う。

(OQSに向けて)一昨年の自分からは考えられない立場にいる。しっかりその自覚を持って、ふさわしい成績を残せるように頑張りたい。指は練習しながら治すのが厳しいと思う。指のことは気にならないくらいまで治してから練習を再開して、徐々にトレーニングの強度を上げていきたい。」


野中生萌(準決勝13位)
「いい刺激が入った。本来ある持久力が戻ってきていない感じがあるが、もっと上げていける幅も見えた。BJCとLJCで自分がこの練習量でどのぐらいなのかがはっきりとわかった。プラスアルファで練習を積んでいければ、格段に調子は上がると思っている」

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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