森秋彩が圧巻の優勝 両種目90ポイント以上獲得で全ラウンド1位【クライミングW杯盛岡大会】

 クライミングW杯盛岡大会(コンバインド)の女子決勝が22日午後、岩手県営運動公園スポーツクライミング競技場で行われ、ボルダリング、リードの両種目で90ポイント以上を獲得した森秋彩が優勝。予選、準決勝、決勝と全ラウンドで1位を飾った。

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 前日の準決勝で8位以内に入った森、野中生萌、谷井菜月、伊藤ふたばの日本勢4人が進出した女子決勝。第1種目ボルダリングは1課題目から完登者が少なく、うまく重心をコントロールしたソ・チェヒョン(韓国)、ナタリア・グロスマン(米国)、森の3人がスラブ課題を攻略する。

第1課題の完登に迫る森

 第2課題は3つのスローパーをランジから素早く処理する前半パートに多くの選手が苦戦。これを野中が一撃で仕留めると、ブルック・ラバトゥ(米国)、グロスマンも完登。さらにコーディネーション系の動きを苦手としミスの続いていた森が9トライ目に保持に成功し、そのまま登り切った。

 連続完登したグロスマンと森は続く第3課題も完登。さらに最終課題もキャンパシングで巧みにポジショニングを入れ替えるなどして攻略し、森は一撃した。全完登した2人だが1位は世界ランク1位でもあるグロスマンで99.1ポイント。第2課題で9アテンプトを要した森はその分の減点が響き0.3ポイント差の2位で折り返した。野中は2完登、伊藤は1完登、谷井は未完登で出遅れてしまった。

ボルダリングで首位に立ったグロスマン

 続くリードも7番手グロスマンが38+を記録しここでも1位に立つ。しかし予選、準決勝と2日連続でリードを完登してきている森はグロスマンの記録を優に超える。1手につき4ポイントを得られる最終セクションも突き進み、クロスムーブも見事に決めるなどしてトップホールドに迫った。最後はゴール下のカチを捉え切れず完登を逃したものの、43+のハイスコア。観客からは惜しみない拍手が送られた。

リードの最終盤を進む森。3日連続完登はならなかったものの優勝に十分なポイントを獲得した

 森は92.1ポイントを加え、合計190.9ポイントで2位グロスマンの171.2ポイントを上回り優勝。今年リードW杯に2戦出場し、いずれも五輪金メダリストのヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)を破り優勝した19歳がパリ五輪フォーマットの大会でも1位に輝いた。3位にはソが入り、野中は5位、谷井は6位、伊藤は7位とリードでの挽回はならず、表彰台に届かなかった。

 これでW杯盛岡大会が終了。日本は男子で楢崎智亜、緒方良行、藤井快が表彰台を独占、女子も森が優勝するなど、自国の観客を前に多くの選手が活躍し、今シーズンのW杯最終戦を締めくくった。

5位の野中生萌。得意のボルダリングで完登数を伸ばせなかった

6位の谷井菜月。リードで一定の高度に達したものの、準決勝で好調だったボルダリングでポイントを落としてしまった

7位の伊藤ふたば。ボルダリング第3課題を完登し地元・盛岡の観客を湧かせた

<決勝リザルト>

1位:森 秋彩(JPN)
 190.9pt(B 98.8pt/L 92.1pt)
2位:ナタリア・グロスマン(USA)
 171.2pt(B 99.1pt/L 72.1pt)
3位:ソ・チェヒョン(KOR)
 131.8pt(B 59.8pt/L 72pt)
4位:ブルック・ラバトゥ(USA)
 126pt(B 54pt/L 72pt)
5位:野中 生萌(JPN)
 104pt(B 64.9pt/L 39.1pt)
6位:谷井 菜月(JPN)
 97.3pt(B 29.2pt/L 68.1pt)
7位:伊藤 ふたば(JPN)
 74.9pt(B 44.8pt/L 30.1pt)
8位:ミア・クランプル(SLO)
 63.8pt(B 33.8pt/L 30pt)

※上段左から順位、氏名、所属国
※下段左から2種目のポイントを合算した複合ポイント、各種目のポイント(B=ボルダリング、L=リード)

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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