表彰台に上がった(左から)緒方、楢崎、藤井

楢崎がパリ五輪フォーマットを制する 緒方、藤井と今年4度目の表彰台独占【クライミングW杯盛岡大会】

 クライミングW杯盛岡大会(コンバインド)の男子決勝が21日午後、岩手県営運動公園スポーツクライミング競技場で行われ、ボルダリング、リードの両種目で好成績を残した楢崎智亜が優勝。2位に緒方良行、3位に藤井快が入り、日本勢が表彰台を独占した。

 2024年パリ五輪の採用種目の1つ、コンバインド(2種目複合)はボルダリング、リードの成績に応じたポイントを足し算して勝敗を決める。コンバインド初のW杯となった今大会はパリ五輪に向けた暫定ルールが適用された。

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 決勝には楢崎、緒方、本間大晴、藤井、川又玲瑛の日本勢5人が進出。ファイナリスト8人のうち半分以上を日本人選手が占める形となった。ボルダリングは準決勝8位で1番手に登るポール・ジョンフ(フランス)が躍動。後続の藤井が9アテンプトも要した第1課題をファーストトライで登り切ると、第2、第4課題も一撃。186cmでリーチに長ける19歳がそのアドバンテージを生かし切った。

ボルダリングの第1課題を一撃したジョンフ。波に乗りさらに2つの一撃を重ねた

 その後は準決勝1位の楢崎を中心にジョンフを追いかける。楢崎は第2課題、壁に左手を添えてうまくバランス調整すると、難所のアンダー取りに成功してジョンフに続く2人目の完登。第4課題は卓越したボディバランスでトップホールドを手中に収めた。首位のジョンフと同じ3完登の楢崎は84.3ポイントで0.4ポイント差の2位。2完登の藤井が68.6ポイントで3位につけた。

第4課題を登り切り、ジョンフに肉薄した楢崎

 リードでは本来この種目を得意とするジョンフが高度32にとどまり、45ポイントと数字を伸ばせず。すると3番手の藤井が1手あたり4ポイントに切り替わる38手目に到達。64ポイントを加え132.6ポイントで総合首位に浮上した。今度は7番手の緒方が魅せる。全身のパワーを駆使して残り4手となる43手目まで攻略し、合計138.4ポイントで藤井を抜き去った。最後に登る楢崎は、優勝のプレッシャーを感じさせず素早くかつ的確に1手また1手と進んでいき、57ポイントを獲得して総合1位の座を決めると、最後は40+まで高度を伸ばした。

リードで残り10手となる64ポイント目に差し掛かる藤井

終盤を登る緒方。強靭なフィジカルでリード1位の高度をマークした

 この結果、156.4ポイントの楢崎が1位、緒方が2位、藤井が3位と日本勢が表彰台を独占。彼らはボルダリングのW杯ソウル大会、年間ランキング、アジア選手権に続き、今年4度目のワンツースリーを達成した。本間は6位、川又は7位に終わった。盛岡の地に君が代が鳴り響いた男子ファイナル。大会最終日の明日22日には森秋彩、野中生萌、谷井菜月、伊藤ふたばが出場する女子決勝が行われる。

<決勝リザルト>

1位:楢崎 智亜(JPN)
 156.4pt(B 84.3pt/L 72.1pt)
2位:緒方 良行(JPN)
 138.4pt(B 54.4pt/L 84pt)
3位:藤井 快(JPN)
 132.6pt(B 68.6pt/L 64pt)
4位:ポール・ジョンフ(FRA)
 129.7pt(B 84.7pt/L 45pt)
5位:ヤニック・フローエ(GER)
 128.5pt(B 64.4pt/L 64.1pt)
6位:本間 大晴(JPN)
 117.5pt(B 49.4pt/L 68.1pt)
7位:川又 玲瑛(JPN)
 109.5pt(B 64.4pt/L 45.1pt)
8位:ショーン・ベイリー(USA)
 76.6pt(B 28.6pt/L 48pt)

※上段左から順位、氏名、所属国
※下段左から2種目のポイントを合算した複合ポイント、各種目のポイント(B=ボルダリング、L=リード)

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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