(左から)2位・杉本怜、優勝・井上祐二、3位・渡部桂太

井上祐二が劇的勝利 最終課題の完登で逆転【Top of the Top 2021】<男子ボルダリング決勝>

 23日夕方、2021年のスポーツクライミング日本代表らトップ選手のみが出場する「Top of the Top 2021」(葛飾区東金町運動場スポーツクライミングセンター=東京都)の男子ボルダリング決勝が行われ、最終課題で逆転した井上祐二が大会初優勝を遂げた。

 男子決勝は2段階のダブルダイノを決めるなどした先頭・緒方良行の一撃で幕を開ける。その後も好パフォーマンスが続き、6人中5人が完登でスタートを切った。第2課題は保持し難いホールドが並び、緒方がTOPホールドに手をかけるも制限時間内に登り切ることができず、第1課題から一転してこの課題は完登者ゼロに終わった。

 緩傾斜壁に設けられたバランシーな第3課題では渡部桂太が魅せる。卓越したバランス感覚で粒ホールドに乗り込むと、残り約1秒で軽やかにTOPホールドへと飛び移った。得意のスラブで本領を発揮した渡部が暫定首位へと浮上。さらに杉本怜、井上も完登し、僅差で渡部を追いかける形に。

 運命の第4課題。ランジによる浅いポケットのゾーン取りを緒方が成功できず競技を終えると、2番手の高田が見事なボディバランスで完登。前回王者が会場を沸き立たせる。完登して優勝を大きく手繰り寄せたい渡部はゾーン前に力尽き、勝敗の行方は杉本、井上の結果次第に。

最終課題完登後、雄たけびを上げる井上

 杉本は2トライ目にゾーンを獲得して首位と入れ替わることに成功。優勝のために完登するしかない井上は徐々にムーブの精度を高めていくと4トライ目にゾーンを獲得、さらに体を引き上げていき、残り2秒でのミッション達成を果たした。井上は大きな雄叫びで感情を爆発させ、それに呼応するかのように観客の盛り上がりもピークに達した。

 今大会は久々の有観客となったが、会場には多くの観客が集まり、拍手やスティックバルーンで選手の登りを支えた。優勝した井上もフラワーセレモニーで「決勝はみなさんの後押しもあってすごくいい登りができたと思います。みなさんの応援がないとこのように盛り上がって競技ができないと思うので、今後も応援していただけると選手の励みになります。これからもよろしくお願いします」と観客に感謝を伝え、2021年の「Top of the Top」を締めくくった。

<リザルト>

1位:井上 祐二(無所属)/3t3z 9 9
2位:杉本 怜(オリエンタルバイオ)/2t4z 5 12
3位:渡部 桂太(住友電装)/2t3z 4 7
4位:川又 玲瑛(栃木県山岳・スポーツクライミング連盟)/1t3z 3 9
5位:緒方 良行(ホリプロ)/1t2z 1 2
6位:高田 知尭(鳥取県山岳・スポーツクライミング協会)/1t2z 1 5

※左から氏名、所属先、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

「Top of the Top 2021」大会特設サイト
大会公式掲示板(競技順・成績速報などはこちらから)

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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