注目選手はアレクサンドラ・ミロスラフ(ポーランド)。対人戦となる決勝トーナメントでも7秒台前半の好タイムを連発する

【東京五輪】スポーツクライミングの勢力図[女子スピード編]

 東京2020オリンピックの追加競技として五輪で初実施されるスポーツクライミングは、スピード、ボルダリング、リードの3種目を1人の選手がこなし、各順位をかけ算した値の小ささを競う「複合」でメダルを争う。

【東京五輪】スポーツクライミングの競技ルールをわかりやすく解説!

 本記事では、第1種目として行われるスピードの女子勢力図を、2018年以降のIFSC(国際スポーツクライミング連盟)主催・主管大会で各選手が計測したベストタイムを用いて紹介する(日本人選手は国内大会での公式記録も含む)。ぜひ8月3日からの観戦に役立ててほしい。

 以下の序列は、五輪出場選手を自己記録順で並べたものだ。スピードでは踏み外しなどのミスも多く、特に対人戦のトーナメント方式になる決勝ではメンタルも重要になり、自己ベストで上回る選手が勝利するとは限らないため、直近シーズンの平均順位(2018年以降のW杯&世界選手権)も参考として併記した。

東京五輪出場選手:スピード自己ベスト&平均順位[女子]

【1】ユリア・カプリナ(ROC)/6.964秒 ※女子世界記録(8.4位)
【2】ソン・イーリン(CHN)/7.101秒(7.2位)
【3】アレクサンドラ・ミロスラフ(POL)/7.129秒(1.2位)
【4】アヌーク・ジョベール(FRA)/7.321秒(5.0位)
【5】野中 生萌(JPN)/7.88秒(23.9位)
【6】ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/7.961秒(30.4位)
【7】キーラ・コンディー(USA)/8.43秒(30.1位)
【8】オセアニア・マッケンジー(AUS)/8.45秒(30.9位)
【9】ペトラ・クリングラー(SUI)/8.59秒(30.3位)
【10】ヴィクトリア・メシコワ(ROC)/8.63秒(35.0位)
【11】野口 啓代(JPN)/8.68秒(34.7位)
【12】ジュリア・シャヌルディ(FRA)/8.73秒(37.1位)
【13】アランナ・イップ(CAN)/9.119秒(34.2位)
【14】ブルック・ラバトゥ(USA)/9.129秒(31.2位)
【15】ショウナ・コクシー(GBR)/9.141秒(42.3位)
【16】ミア・クランプル(SLO)/9.43秒(55.2位)
【17】ジェシカ・ピルツ(AUT)/9.564秒(41.9位)
【18】ラウラ・ロゴラ(ITA)/10.518秒(46.6位)
【19】ソ・チェヒョン(KOR)/10.706秒(48.8位)
【20】エリン・ステルケンブルク(RSA)/12.04秒(-位)

※左から氏名、国名・所属、自己ベスト(2018年以降)、平均順位(2018年以降のW杯&世界選手権)
※W杯&世界選手権のスピード単種目では予選上位16名がトーナメント方式による決勝に進出する
※エリン・ステルケンブルクは2018年以降のW杯&世界選手権の出場実績なし

【東京五輪】出場選手名鑑はこちら

 東京五輪の女子には4名のスピード専門選手が出場予定で、自己ベストの序列では当然のごとく上位を占めた。いずれも6秒台を狙える実力者であり、フィジカルコンディションを整えてきているであろう五輪での世界新記録誕生もありえる(現記録はユリア・カプリナの6.964秒)。中でも優勢なのは、ポーランドのアレクサンドラ・ミロスラフ。平均順位は1.2位とダントツで、対人戦となる決勝トーナメントでも7秒台前半の好タイムを連発する。19年の世界選手権コンバインド決勝ではスピードで1位を獲得、ボルダリングとリードは最下位だったものの並みいる強豪を押しのけて4位に入った実績もある。

 この4名に次ぐタイムを持つのが野中生萌だ。立教大学や豊島区の協力とクラウドファンディングによって誕生した専用スピードウォールで研鑽を積み、5月のW杯では日本勢初のメダル獲得という快挙を成し遂げた。一方で金メダル最有力候補のヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)も五輪に向けてタイムを短縮し、6月のW杯で7秒台を計測した。ボルダリング、リードで圧巻の力を誇るガンブレットのスピードでの成績が、他選手の命運を握ると言っても過言ではない。もう1人の日本代表・野口啓代は少しでもこの種目で上位につけ、得意の残り2種目につなげたい。

[女子ボルダリング編]はこちら
[女子リード編]はこちら

CREDITS

編集部 / 写真 高須力

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