女子優勝のヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)

ヤンヤ・ガンブレットが全完登で優勝。阿部4位、樋口7位、村下8位/リードW杯2021第2戦 ヴィラール大会

 クライミングW杯2021リード第2戦決勝が現地時間3日(日本時間4日)、フランス・ヴィラールで行われ、男子はショーン・ベイリー(米国)が初優勝、女子はヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)が予選からの全ルートを完登して開幕2連勝を遂げた。日本勢最高は男子が樋口純裕の7位、女子が阿部桃子の4位だった。

 今大会から東京五輪の日本代表である楢崎智亜、原田海、野口啓代、野中生萌が本番に向けた調整などのため不参加となったなか、樋口、村下善乙、阿部が決勝に進出。樋口は2戦連続でファイナリストに名を連ね、17歳の村下はW杯初出場で、18歳の阿部は出場2戦目で初のファイナルとなった。

 男子決勝では、2番手のコリン・ダフィー(米国)が終盤の高負荷パートでも下半身がブレず、高度31+で暫定首位に立つ。3番手の村下は序盤に設けられた距離の遠い一手を止められず高度11+、続く樋口は村下の失敗したムーブを成功したかに思われたが剥がれてしまい高度12で終わった。

 その後、チェコのアダム・オンドラ、オーストリアのヤコブ・シューベルト(いずれも今大会は欠場)とリード界のビッグ3を形成するアレクサンダー・メゴス(ドイツ)が35+まで最高到達高度を伸ばすと、ベイリーがそれを上回る高度38をマーク。5月のソルトレイクシティ大会でボルダリングW杯を初めて制した25歳が、ダフィー、メゴスの五輪代表勢を抑え、リードでも初優勝を果たした。

リード男子表彰台=(左から)アレクサンダー・メゴス、ショーン・ベイリー、コリン・ダフィー。東京五輪代表の17歳、ダフィーはW杯初表彰台となった。

リード女子4位と自身初の決勝で健闘した阿部桃子。(写真:AFP/アフロ)

 女子決勝では、先頭のナタリア・グロスマン(米国)がTOPに迫る42+をマークすると、予選2位、準決勝5位とここまで好成績の4番手・阿部も躍動。冷静にムーブを繰り返し、最後は終盤のダイノで落下したが、残り2人の競技者となるまで暫定2位を維持した。

 ラスト2人はラウラ・ロゴラ(イタリア)とガンブレットの五輪代表勢。先を登るロゴラは阿部の失敗したダイノパートをスタティックに攻略し、ゴールへの遠い一手も決めて残り3秒で完登。大きくガッツポーズし、集まった観客の大声援に応える。しかしガンブレットも最後まで登り切り、ロゴラを準決勝の順位で上回るスロベニアの女王が“五輪勢対決”をカウントバックで制した。ガンブレットは予選2本、準決勝1本、決勝1本の全ルートを完登する圧倒的強さを見せつけ、開幕2連勝となった。3位には今季ボルダリングで2勝を挙げているグロスマンが入り、阿部は4位でフィニッシュした。

 1、2日には同会場でスピード第2戦も行われ、男子は第1戦で世界記録を樹立し優勝したベドリック・レオナルド(インドネシア)が連勝、女子は昨年の欧州女王、エカテリーナ・バラシュチュク(ロシア)が制した。日本勢は竹田創が30位、第1戦で6位だった安川潤が51位で、決勝トーナメント進出はならなかった。

リード女子表彰台=(左から)ラウラ・ロゴラ、ヤンヤ・ガンブレット、ナタリア・グロスマン。ガンブレットは同大会のスピードで東京五輪出場選手の中でも上位に位置する7秒台、7.916秒をマークした。

<リード決勝>

[男子]
1位:ショーン・ベイリー(USA)/38
2位:アレクサンダー・メゴス(GER)/35+
3位:コリン・ダフィー(USA)/31+
4位:セバスチャン・ハレンケ(GER)/26.5+
5位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)/26.5
6位:ポール・ジョンフ(FRA)/26
7位:樋口 純裕(JPN)/12
8位:村下 善乙(JPN)/11+
――――――
9位:藤井 快(JPN)※準決勝進出
13位:吉田 智音(JPN)※準決勝進出
14位:田中 修太(JPN)※準決勝進出
17位:天笠 颯太(JPN)※準決勝進出

[女子]
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/TOP
2位:ラウラ・ロゴラ(ITA)/TOP
3位:ナタリア・グロスマン(USA)/42+
4位:阿部 桃子/40+
5位:ヴィータ・ルーカン(SLO)/40+
6位:アレクサンドラ・タコバ(BUL)/33+
7位:ルチカ・ラコヴェッチ(SLO)/17+
8位:ミア・クランプル(SLO)/17+
――――――
21位:伊藤 ふたば(JPN)※準決勝進出
23位:柿崎 未羽(JPN)※準決勝進出
30位:高尾 知那(JPN)

※左から氏名、所属国、決勝成績(到達高度)
※同高度の場合は前ラウンドの成績を適用するカウントバックで順位を決定

<スピード決勝>

[男子]
1位:ベドリック・レオナルド(INA)/5.32秒
2位:ドミトリー・チモフェーエフ(RUS)/7.35秒
3位:キロマル・カティビン(INA)/5.30秒
4位:ウラジスラフ・デューリン(RUS)/5.38秒
――――――
30位:竹田 創(JPN)/6.26秒
51位:安川 潤(JPN)/8.58秒
DNS:北見 宗和(JPN)

[女子]
1位:エカテリーナ・バラシュチュク(RUS)/7.30秒
2位:ユリア・カプリナ(RUS)/8.39秒
3位:パトリシア・フージャック(POL)/7.73秒
4位:デサック・マデ・リタ・クスマ・デウィ(INA)/10.38秒

※左から氏名、所属国、成績
※成績は、1・2位はビッグファイナル(優勝決定戦)、3・4位はスモールファイナル(3位決定戦)の記録

国際スポーツクライミング連盟/ヴィラール大会特設ページ(リザルト詳細などはこちらから)

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編集部 / 写真 © 2021 Lena Drapella/IFSC

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