安楽宙斗「決勝は90%ぐらい完璧な状態だった」【リードW杯第1~2戦後のコメント】

 クライミングW杯リード第1戦が4月25~27日に中国・呉江で、第2戦が5月2・4日にインドネシア・バリで行われ、日本代表は男女6人ずつが出場。第1戦で安楽宙斗が男子1位、鈴木音生が同2位に輝き、第2戦では吉田智音が男子1位、森秋彩が女子3位に入った。日本代表チームは5月6日に羽田空港へ帰国。空港で安楽宙斗、吉田智音、森秋彩に話を伺った。

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■安楽宙斗(第1戦 優勝/第2戦 16位)

―――第1戦での優勝、おめでとうございます。
「ありがとうございます。準決勝の流れがあまり良くなかったんですけど、改善点をその日に見出せて、決勝は90%ぐらい完璧な状態で、頭もすっきりした状態でトライできました。完登で決め切れたのでとても良かったと思います」

――オフシーズンのトレーニング成果は感じられましたか?
「はい。(大会での)オンサイトは細かいところが大事で、なんとなくトレーニングしているようじゃわからないところまでいろいろと考えてトレーニングしてきました。今までレストポイントを全然気にしてこなかったんですけど、やっぱり休めたほうが長く進める確率が高くなるので、レストの部分には重きを置いて練習してきました。それがいい形で表れての優勝だったと思います」

――第2戦は16位で準決勝敗退でした。
「トウフックしてから左手にヒールフックしてゆっくり行くのが想定ムーブだったと思うんですけど、すごくいいポジションにいて、余力もあって完登を狙えそうだったので浪費を抑えようとトウフック後に飛んでしまって落ちてしまいました」

――そこは次回に活かす反省点でしょうか?
「そうですね。ムーブで落ちたミスはワールドカップでは初めてでした。これを世界選手権前に経験できたのは大きいと思います」

――次回はボルダーのワールドカップ第2戦クリチバ大会(5月/ブラジル)に出場予定です。
「(優勝した)ボルダー第1戦の柯橋大会でかなりいい流れをつくれました。『こうすれば1位を取れるんだな』という流れが大体わかったので、それを忘れないようにしつつ、各ラウンドで随時気づきを得ていきながら優勝につなげられたらと思います」

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■吉田智音(第1戦 4位/第2戦 優勝)

――ワールドカップでの初優勝、おめでとうございます。
「ありがとうございます。11回目の決勝だったんですけど、はじめは決勝に残っても表彰台に上がれず、一昨年に初めて表彰台に上がるも金には届かず、去年のブリアンソン大会では本当にあと少しのところで金を逃してしまいました。決勝に残っても自分は優勝できないんじゃないかとナーバスになっていた部分があったので、次からは吹っ切れた気持ちで、より自分の実力を出せるようになるのではないかなと考えています」

――第1戦は4位、第2戦は1位。調子が良さそうに見えますが、ご自身ではどう感じていますか?
「今シーズンはリードに絞ると決めていて、ワールドカップの初戦に合わせて2月頃からずっとトレーニングしてきました。すでに3月頃には過去最高に調子が仕上がっていると自覚できていて、それが結果にうまく表れたのかなと捉えています」

――どのようにトレーニングしてきましたか?
「リードジャパンカップ(以下LJC)まではベーシックな練習で、その後はインスブルックに行ってより実践的な練習を重ねました」

――今後の出場予定を教えてください。
「まずは(6月の)インスブルック大会に出場予定です。バリ大会で優勝できたことで、ワールドカップの後半戦と(9月の)世界選手権にも出場できると思います」

――その後半戦に向けた意気込みをお願いします。
「今年はいいスタートを切れました。世界選手権が一番大きな目標ですけど、ワールドカップの年間表彰も狙っていきたいです」

■森秋彩(第2戦 3位)

――今シーズン初出場となった第2戦で銅メダルを獲得しました。
「準決勝はゴール落ち、決勝はタイムアップと、未練が残り悔しかったです。でも、もっと強くなりたい気持ちになったり改善点が浮き彫りになったりしたので、そこは収穫でした」

――決勝は最後のクリップ直前に時間切れとなりました。同じような経験は過去にありますか?
「初めてでした。下部でクリップを飛ばしかけるミスがあり、それが響いてしまいました。オブザベーションと実際の登りにズレがあったので、そこは変えていきたいです」

――準決勝のゴール下と決勝の終盤で距離出しがうまくいかなかったように見えました。オブザベーションの時点から嫌な感じはありましたか?
「そうですね。最終面は距離感が遠いなと思っていて、ホールドが良ければ思いっきり行けたんですけどシェイプも悪く、そこで行きつ戻りつしてしまい時間を使ってしまいました。良いポジションにいられるよう、オンサイトトレーニングがもっと必要だなと思いました」

――今後の出場予定を教えてください。
「世界選手権はリードの出場権しか持っておらず、ボルダーにも出場したいです。そのためにも、もしボルダーワールドカップの出場権が回ってくれば(6月の)ベルン大会とインスブルック大会には出たいと思っています。まだ確定ではないですがリードはインスブルック大会、(7月の)シャモニー大会、(7月の)マドリード大会に出る可能性があります」

――今後に向けた意気込みをお願いします。
「バリ大会は3位で悔しかったですけど実力的には十分通用することがわかったので、これから出る大会はすべて優勝を目指したいです。ボルダーに関してはコーディネーション系だったりジャンプ系だったりの苦手な練習をしていて、その成果を活かしてワールドカップの決勝に残り、世界選手権の出場権獲得のために表彰台を目指したいです。(2028年オリンピックの)ロサンゼルスに向けて着実に強くなっていけたらと思います」

●その他の選手のコメントは「JMSCAウェブマガジン」に掲載しています

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取材・文 編集部 / 写真 © Kazushige Nakajima/IFSC

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