野中生萌

野中4位、伊藤5位で6月の第2戦へ【五輪予選シリーズ第1戦】

 アーバンスポーツ4競技で開催されているパリ五輪予選シリーズ第1戦(中国・上海)は最終日の19日、スポーツクライミングのボルダー&リード女子決勝を行い、日本の野中生萌が4位、伊藤ふたばが5位に入った。優勝は米国のブルック・ラバトゥ。

 男女各48人がエントリーし、2戦合計ポイント上位12人がパリ五輪出場権を得る予選シリーズ。日本はボルダー&リードで楢崎智亜、安楽宙斗の男子2人、森秋彩の女子1人がすでにパリ行きチケットを手にしていて、同種目で残された女子1枠を懸けて野中、伊藤、中川瑠、久米乃ノ華の4人が出場した。16、17日の予選は首位に立った野中を筆頭に伊藤、中川が準決勝に進出。久米は44位で敗退した。18日の準決勝は野中が3位、伊藤が5位で上位8人による決勝へ。中川は競技前に棄権となり20位だった。

伊藤ふたば

 決勝のボルダーラウンドは8人全員が巧みなボディバランスを発揮して完登発進。しかし第2課題では最初のゾーン以降になかなか進むことができず、多くの選手が5点以下の獲得にとどまった。だが7番手のラバトゥがテクニカルに登り切ってこの課題を単独完登。勢いに乗るラバトゥは動的ムーブの続いた第3課題を2アテンプトで攻略すると、コーディネーション系の最終課題も唯一2つ目のゾーンに到達。83.8ポイントで首位に立った。そのほか2完登は6人、1完登は1人で、野中と伊藤は5人が59ポイント台で並んだ中で4、5位につけてリードラウンドに進んだ。

1位のラバトゥ

 終盤まで傾斜がフラットな壁に設けられたリードの決勝課題は、やはり1手4ポイントに切り替わる付近のセクションが難所となる。伊藤は足場が安定せず体力を消耗したのか60ポイント獲得前に力尽きて57.1ポイント。野中はヒールフックを駆使して60ポイント超えに成功し、リードで2位タイの68.1ポイントを手にした。ラバトゥは伊藤と同じ高度で落下するもボルダーで稼いだ貯金を生かし140.9ポイントで1位フィニッシュ。2位はリードで80.1ポイントの最高成績を収め、134.3ポイントとしたソ・チェヒョン(韓国)。3位はボルダー、リードともに2位タイの成績で127.8ポイントのエリン・マクニース(英国)。野中はマクニースと0.1ポイント差で4位、伊藤は116.5ポイントで5位だった。

 予選シリーズは各戦1位の50ポイントを頂点として各順位にポイントが割り振られ、4位の野中は38ポイント、5位の伊藤は36ポイントを獲得。その差は2ポイントとなっている。運命の第2戦は6月20~23日にハンガリーの首都・ブダペストで行われる。日本女子が第1戦との合計ポイント12位以内に複数人入った場合は、上位だった選手がパリ五輪代表権を得る。

 なお、男子も同日に決勝が行われ、韓国のイ・ドヒョンがリードで完登し1位に立った。2位は東京五輪金メダリストのアルベルト・ヒネス・ロペス(スペイン)でこちらもリードで100点を獲得。いずれもボルダーでの4位、6位から順位を上げた。3位はアダム・オンドラ(チェコ)だった。

<決勝リザルト>

[女子]
1位:ブルック・ラバトゥ(USA)
 140.9pt(B 83.8pt/L 57.1pt)
2位:ソ・チェヒョン(KOR)
 134.3pt(B 54.2pt/L 80.1pt)
3位:エリン・マクニース(GBR)
 127.8pt(B 59.7pt/L 68.1pt)
4位:野中 生萌(JPN)
 127.7pt(B 59.6pt/L 68.1pt)
5位:伊藤 ふたば(JPN)
 116.5pt(B 59.4pt/L 57.1pt)
6位:エフゲニア・カズベコワ(UKR)
 107.2pt(B 59.1pt/L 48.1pt)
7位:ラク・チリョ(CHN)
 98.8pt(B 59.7pt/L 39.1pt)
8位:ゼリア・アベズー(FRA)
 96.5pt(B 39.4pt/L 57.1pt)

[男子]
1位:イ・ドヒョン(KOR)
 134.5pt(B 34.5pt/L 100pt)
2位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)
 124.5pt(B 24.5pt/L 100pt)
3位:アダム・オンドラ(CZE)
 124.1pt(B 64pt/L 60.1pt)
4位:ポール・ジョンフ(FRA)
 113.1pt(B 49.1pt/L 64pt)
5位:サッシャ・レーマン(SUI)
 110.4pt(B 14.3pt/L 96.1pt)
6位:ハネス・ハン・デュイセン(BEL)
 94.6pt(B 34.5pt/L 60.1pt)
7位:ハミッシュ・マッカーサー(GBR)
 93.9pt(B 48.8pt/L 45.1pt)
8位:サム・アベズー(FRA)
 9.8pt(B 9.8pt/L 0pt)

※上段左から順位、氏名、所属国
※下段左から2種目の合計ポイント、各種目のポイント(B=ボルダー、L=リード)

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編集部 / 写真 © Kazushige Nakajima / IFSC

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