パリ五輪内定の安楽宙斗が帰国「五輪で圧倒的1位を取れるように」

 スポーツクライミングのパリ五輪アジア大陸予選(ジャカルタ)のボルダー&リード男子決勝で優勝し、五輪内定を決めた16歳の安楽宙斗が12日、成田空港に帰国。「『やり切った』というすごくうれしい気持ちで帰ってきました」と晴れやかな表情を見せて報道陣の取材に応じた。

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 決勝はボルダー4課題、リード1課題すべてを完登。200点満点中199.7点を獲得して他を圧倒した。「ほぼイメージ通り。悪いところも何カ所かあったけど、いつも通り現場処理で切り替えたり、上部で(腕などが)張っている時も急がずにゆっくり手を振ったりして、終始落ち着いた登りだったと思います」と自身のパフォーマンスを振り返った。

 8月の世界選手権は4位に終わり、惜しくも五輪内定条件の表彰台に届かなかった。「あの時は自然に涙が出てきた。僕は今まで大会で泣くことはなかったけど、五輪がかかっていたし、頑張って練習してきたのにという思いもあった。初めての体験で悔しかったです」。その悔しさを晴らす会心の登りだった。「リードの最上部での粘りというか、腕が張っていて握れない時でも体で押し上げることができていなかった。世界選手権ではその悪い部分が出たけど、今回はそこを改善できた」と胸を張った。

 日々の筋力トレーニングもリード上部での力強さにつながった。「全身の基礎の筋肉を底上げする感じ」と、週に2回ほど登らない日に行っているという。「ボルダーが強くなれば、リードの一手一手の動きももっと簡単になると思う。ボルダーとリードのどちらにも通じる筋力をもっと上げていきたいです」と、引き続き筋力向上を今後のテーマの1つに挙げた。パリ五輪に向けても「今は世界選手権を戦った時よりも強くなっている。五輪までにもっと強くなりたい。五輪では圧倒的1位を取れるように、世界最強になれるように頑張ります」と力強く“宣言”した。

 アジア大陸予選で、国際大会デビューとなった安楽の今シーズンは終了。W杯ではボルダーとリードそれぞれで同じ年に年間優勝に輝くという史上初の偉業も成し遂げた。「(W杯が開幕した)4月に比べると大会での戦い方がわかってきた。トレーニングも欠かさずやっていたので、大会面でも実力面でも大きく成長できた大事なシーズンだったと思います」。翌日からは修学旅行に参加するため関西方面に向かうという。14日には17歳の誕生日を迎える安楽が、ようやくオフシーズンを迎え“高校生の日常”に戻る。

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取材・文・写真 編集部

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