クライミングW杯開幕を前に藤井、緒方、伊藤が意気込み 「大事な年になる」「楽しみ」
スイス・マイリンゲンで現地時間4月8日から10日にかけて開催される今シーズンのクライミングW杯開幕戦(ボルダリング第1戦)に先立ち、緒方良行、伊藤ふたば、藤井快の3選手がオンライン会見を行った。
24歳の緒方は、昨シーズンのW杯ボルダリング年間王者の立場で初戦に臨む。本人は「去年は全戦優勝したわけでもないので、プレッシャーを感じるのは少しおこがましい感じ。挑戦する気持ちでいる」とチャレンジ精神を忘れないが、2月の国内開幕戦、ボルダリングジャパンカップ(以下BJC)では準決勝で敗退した。冒頭のスラブ課題を失敗したことで流れが悪くなったといい、「どの大会でも最初にスラブ課題が出てくることが多い。その結果次第でラウンドの流れが決まることがよくあるので、意識して練習してきた」と、大会後は緩傾斜壁の練習量を増やした。「感覚はかなり良い。スラブの能力が上がっていることで自信になっている」と期待を抱かせるコメントを残した。
8日から始まるマイリンゲン大会については「以前は夏の後半戦に向けてピークを持っていくようにしていたが、ここ数年は初戦にピークを持っていき、その流れに任せてシーズンをやり通すという形に変えた。昨シーズンを含めそのほうが成績が良かったので、今シーズンも初戦はすごく大事という気持ちでピークを合わせようとしている。すごく楽しみ」と意気揚々と話し、今シーズン全体の目標には「大会も頑張りたいが、成績というよりもパリ五輪に向けてボルダリングとリードそれぞれの能力を上げていくこと」を挙げた。
「来年はパリ五輪の選考大会となる世界選手権があるので、今年はすごく大事な年だと感じている」と話したのは伊藤。3位だったBJCについて「決め切る能力が欠けていた」と振り返り、以降は「一撃すること」に意識を置いて練習を重ねてきたという。
伊藤は「去年のW杯はボルダリングが4位、リードは決勝進出ライン下の9位が最高順位で、あと一歩というところで終わってしまった。今年こそ成績を残して自信を付け、来年に繋げたい」と例年以上に強い想いを持ち、「まずはマイリンゲンでW杯初の表彰台に上がり、勢いを付けて今シーズンを走り抜きたい」と意気込む。先輩である野口啓代が競技から引退した今のクライミング界を「引っ張っていく立場になるのかな」と自覚する18歳が初戦から最高順位を目指す。
一方、ボルダリングの世界王者としてW杯開幕を迎える藤井は「僕自身は特に変わるところはない。ただ、自分を見てくださる方々の目は変わってくると思う。それがプレッシャーになるというよりは、それに応えたいという思い。普段通り試合に取り組んで、良い結果を届けられるように全力で頑張る」と力強い言葉を述べた。
今年で30歳を迎える去年の世界選手権王者は、体重のコントロールや体力向上、回復のためにランニングを取り入れるなど自身の成長に繋がるものは積極的に取り入れている。「今年はパリ五輪の選考が始まる前の年になる。土台を大きくするシーズンにして、肉体的にも精神的にももっとタフになりたい」とした藤井。「結果にもこだわりたい」と初戦から優勝を狙っていく。
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取材・文 編集部