表彰式に出席した野口啓代(左)と野中生萌

東京五輪メダリストの野中生萌、野口啓代に報奨金 野中は2大会連続でのメダル獲得に意欲

 JMSCA(日本山岳・スポーツクライミング協会)は5日、都内で東京五輪の表彰式を開き、女子銀メダリストの野中生萌に200万円、銅メダリストの野口啓代に100万円の報奨金を授与した。

 あらためて東京五輪を振り返った野中は「いろいろな賞を頂く機会があって、本当にこの結果を残せて良かったなと、ホッとした気持ちとうれしい気持ちでいっぱい。メダルを勝ち取ったからこそ、次も取りたいという想いが出てきている」と話し、2024年パリ五輪での2大会連続表彰台へ意欲を示した。

 五輪後は海外に滞在し、岩場でのクライミングを満喫。フランスのセユーズではルートクライミングにおけるグレード5.14cの「Mr.Hyde」を完登した。中学2年生の頃に5.13aを登って以来となる高難度ルートへの挑戦だったといい、「特に期待もせずに挑戦してみたら結果的に登ることができた。すごく楽しくて、たくさんの刺激を受けました」と充実の時間を過ごした様子だった。五輪などで負ったケガの状況については「ほとんどの動きで痛みを感じずに普段通り登れるようになっています」と回復具合をアピールした。

まだ最終的な決断はしていないものの、野中は「本気でメダルを目指していくならば(ボルダリングとリードの)2種目なのかなと考え始めている」とパリ五輪に向けてスピードの取り組みを断念し2種目複合に専念する意向を明らかにした

 東京五輪で競技生活から引退した野口は「ありがたいことにメディアのお仕事だったりクライミングを普及させるような活動をやらせていただいていて、忙しく過ごしています」と近況を報告。「すごく昔のことのように感じている」とした東京五輪については「諦めずにメダルを取れたということが、今の活動に繋がっていると思う。金メダルには届きませんでしたが、私の集大成になるすごくいい大会でした」とコメントした。「五輪を目指す子どもたちの指導や、ゆくゆくは大会の開催もしていきたい」と将来の構想についても語っている。

野口は日本の若手女子について「五輪を目指す選手がたくさんいて、みんなが可能性を秘めている。どのような成長を見せてくれるのかすごく楽しみ」と未来を担う選手たちの今後に期待した

 この他、男子代表として東京五輪に出場した楢崎智亜が技能賞、原田海が敢闘賞を受賞し(いずれもVTR出演)、選手を支えた日本代表選手団のスタッフたちが功労賞を受け取った。

表彰された東京五輪日本代表選手団のスタッフたち。左から富澤隆一郎、山本貴英、水村信二、星多賀子、丸誠一郎(プレゼンター/JMSCA会長)、安井博志、神舘盛充、西谷善子

受賞者一覧

【メダリスト表彰】
野中 生萌(XFLAG)/銀メダル(報奨金200万)
野口 啓代(TEAM au)/銅メダル(報奨金100万)

【技能賞】
楢崎 智亜(TEAM au)

【敢闘賞】
原田 海(日新火災)

【功労賞】
安井 博志(監督)
小林 由佳(コーチ)
Hartmann Benjamin(コーチ)
星 多賀子(コーチ)
水村 信二(コーチ)
山本 貴英(トレーナー)
谷川 哲也(選手村アドミニストレーション)
神舘 盛充(村外スタッフ)
富澤 隆一郎(村外スタッフ)
西谷 善子(村外スタッフ)
原田 佐希(総務)

※選手名の()内は所属先、功労賞受賞者の()内は役職

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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