男子・楢崎智亜が2位、女子・野口は3位に/ボルダリングW杯2017第2戦 中国・重慶大会

 4月22、23日、ボルダリングW杯2017第2戦が中国・重慶で行われた。日本勢は男子で楢崎智亜が2位、女子で野口啓代が3位となり、開幕戦のマイリンゲン大会で予選落ちと出遅れた2人が表彰台に上がった。

 日本男子は出場した10人全員が予選を通過し、準決勝の20人のうち半数を占めるというこれ以上ないスタートダッシュ。その中でも特に気を吐いたのが、マイリンゲンで予選落ちという屈辱を味わった楢崎智亜だ。全5完登7アテンプトで予選第1グループをトップ通過し、準決勝は第1課題で完登者なしという厳しい状況だったが楢崎が4課題中2完登で2位につけた。また原田海が3位で自身初の、渡部桂太も前回大会からの好調を維持し4位で決勝進出を果たした。前回優勝の藤井快は1完登に止まり、9位で準決勝敗退となった。

 決勝は第1課題から全員が完登し、サバイバルな展開に。第2課題で楢崎、チョン・ジョンウォン、アレクセイ・ルブツォフがオンサイトで並び三つ巴となると、勝負を分けたのは第3課題だった。5人がボーナスすらつかめない中、チョン・ジョンウォンが2アテンプトで完登して混戦から抜け出すことに成功。最終課題では保持が認められないハプニングもあったが、一人全完登で優勝を射止めた。楢崎は2完登2アテンプト、ボーナスでもルブツォフと並び、カウントバックで2位。表彰台は逃したものの、渡部は2完登で4位、原田は1完登で5位と健闘した。

 一方の女子ではマイリンゲン大会3位と好発進した野中生萌が予選5課題をオンサイトで1位通過。前回予選敗退の野口啓代は4完登で3位(総合5位)につけ、小武芽生も4完登で5位(総合10位)と続いた。準決勝では野中が第1、第2課題を完登できない苦しい立ち上がりとなったが、あとに登る野口が連続で完登し、上位争いに食い込む展開に。そして前回優勝の女王ショウナ・コクシーも2完登を決めて実力を示すと、さらにハイパフォーマンスを披露したのが予選トップのヤンヤ・ガンブレットだ。野口、コクシーが第3、第4課題で苦戦して完登を逃した一方、昨季リードW杯で4度の優勝を誇る18歳は一人だけ全完登で予選に続いてトップ通過。野口は3位で決勝へ進むが、野中は2完登ながらアテンプト差で9位となり準決勝で敗退した。

 決勝は第1課題で他に完登者がいない厳しい展開の中、ガンブレットが残り14秒で粘りの完登を決める。野口は第2、第3課題を完登して独走する新鋭に食らいついたものの、ガンブレットは決勝でも全完登を達成、圧倒的な強さで優勝を飾った。第1課題の成否が勝負の分かれ目となったが、野口は3完登13アテンプトでコクシーに次いで3位。楢崎とともに予選落ちした前回大会の雪辱を果たす入賞となった。

左からコクシー、ガンブレット、野口

 なお、今大会では男子決勝において、アレクセイ・ルブツォフが最終第4課題でTOPに手をかける瞬間にタイムアップとなり、完登が認められないという事態が発生した。今シーズンからトライ中であっても制限時間に達した時点で競技終了となるルール変更が行われたが、さっそく物議を醸すような場面が生まれてしまった。

<男子・決勝>
1位 チョン・ジョンウォン(21/韓国)4t6 4b5
2位 楢崎 智亜(20)2t2 3b3 ※準決勝2位
3位 アレクセイ・ルブツォフ(28/ロシア)2t2 3b3 ※準決勝6位
4位 渡部 桂太(23)2t3 3b3
5位 原田 海(18)1t1 3b4
6位 マニュエル・コルニュ(23/フランス)1t4 3b8
—–
7位 堀 創(27)
9位 藤井 快(24)
11位 杉本 怜(25)
15位 楢崎 明智(17)
16位 藤脇 祐二(21)
17位 緒方 良行(19)
18位 渡辺 海人(20)

<女子・決勝>
1位 ヤンヤ・ガンブレット(18/スロベニア)4t11 4b7
2位 ショウナ・コクシー(24/イギリス)3t4 4b5
3位 野口 啓代(27)3t13 4b13
4位 アンナ・ストール(28/オーストリア)1t3 3b6
5位 アラーナ・イップ(23/カナダ)1t3 3b8
6位 スターシャ・ゲヨ(19/セルビア)1t4 3b7
—–
9位 野中 生萌(19)
20位 小武 芽生(19)
21位 尾上 彩(21)
29位 五月女 美元(21)

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CREDITS

篠幸彦 / 写真 日本山岳・スポーツクライミング協会

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