W杯初優勝を遂げた森秋彩(中央)

3年ぶり出場の森秋彩が初優勝! 日本女子2人目の快挙でガンブレットの7連勝止める【リードW杯2022第5戦 コペル大会】

 クライミングW杯リード第5戦の男女決勝が3日(日本時間4日)、スロベニア・コペルで行われ、2019年以来の国際大会出場となった森秋彩が日本女子2人目のW杯優勝を成し遂げた。

 2019年の世界選手権で同選手権の日本人最年少メダル(リード3位)を獲得していた天才少女が、久々の国際大会で頂点に立った。森は予選から好調で、第1ルートを唯一完登、第2ルートでも2位に入り総合成績で首位発進すると、同日の準決勝でも2位となり日本勢でただ一人決勝進出を決めた。

 準決勝8位までによる決勝は、東京五輪金メダリストの自国の英雄、ヤンヤ・ガンブレットを一目見ようと多くの観客が集まった中で行われた。蛇行を繰り返す決勝ルートは前半から持久力を奪っていく内容で、中盤にたどり着くのがやっとの展開。6人が競技を終え、最高到達高度はブルック・ラバトゥ(米国)の23+だった。

決勝には多くの観客が集まった(写真:© Dimitris Tosidis/IFSC)

 そして7人目に森が登場。国内リード3連覇中の18歳は序盤から反動をつけて動的にホールドをとらえていくと、それまでに3人が落下していた22手目のスローパーもしっかりと手中に収める。一転して細かいホールドが続くシークエンスも歯を食いしばりながら突破し、観客を沸かせた。最後はマッチからの一手を掴み損ねて落下となるも、終盤に差し掛かる30+の好成績で首位に立った。

決勝ルートを登る森(写真:© Dimitris Tosidis/IFSC)

 最終8番手はガンブレット。彼女のプラカードを掲げるなど熱狂する自国ファンの前で競技をスタートした初代五輪金メダリストも、難所の22手目を攻略。大歓声を後押しにさらに高度を上げたが、28手目が決まらなかった。この瞬間、森のW杯初優勝が確定。2021年インスブルック大会からのリードW杯連勝記録が7でストップしたガンブレットは、競技後すぐに森のもとへ駆け寄り、抱擁して優勝を称えた。

 森は2019年12月の五輪予選に出場した後、コロナ禍や大学進学準備、今春からの大学生活などがあり、海外での大会は欠場が続いていた。3年ぶりの国際舞台で、2012、13年に1度ずつ優勝した小田桃花以来2人目となる日本女子のリードW杯優勝という快挙達成。表彰台では、笑顔が輝いていた。

優勝が決まり、祝福される森(写真:© Dimitris Tosidis/IFSC)

 女子の前に行われた男子決勝は、スロベニアの20歳、ルカ・ポトカが自国の観衆の前で初優勝を飾った。日本勢は予選、準決勝と首位を続けた百合草碧皇を筆頭に、ボルダリングW杯今季年間王者の緒方良行、リードW杯年間暫定1位の本間大晴、五輪強化Sランクの吉田智音がファイナルを戦ったが、百合草の4位が最高で惜しくも表彰台入りはならなかった。

日本男子最高4位に入った百合草。予選、準決勝は首位でメダル獲得が期待されたが、惜しくも表彰台には届かなかった(写真:© Dimitris Tosidis/IFSC)

<決勝リザルト>

[女子]
1位:森 秋彩(JPN)/30+
2位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/27+
3位:ブルック・ラバトゥ(USA)/23+
4位:ソ・チェヒョン(KOR)/22
5位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/21+
6位:ミア・クランプル(SLO)/21+
7位:ナタリア・グロスマン(USA)/21+
8位:エレーヌ・ジャニコ(FRA)/16+
――――――
13位:谷井 菜月(JPN)※準決勝進出
14位:伊藤 ふたば(JPN)※準決勝進出
15位:中川 瑠(JPN)※準決勝進出
29位:大田 理裟(JPN)
31位:柿崎 未羽(JPN)

[男子]
1位:ルカ・ポトカ(SLO)/30+
2位:サッシャ・レーマン(SUI)/30+
3位:ヤニック・フローエ(GER)/29+
4位:百合草 碧皇(JPN)/25+
5位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)/25+
6位:本間 大晴(JPN)/25+
7位:緒方 良行(JPN)/22+
8位:吉田 智音(JPN)/17+
―――――
11位:樋口 純裕(JPN)※準決勝進出
27位:西田 秀聖(JPN)

※左から順位、氏名、所属国、決勝成績(高度)
※同高度の場合は前ラウンド順位の高い選手が上位

CREDITS

編集部 / 写真 JMSCA

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