日本男女6名が決勝へ!伊藤ふたばが初のファイナル/ボルダリングW杯2018第5戦 八王子大会

 3日午前、ボルダリングW杯2018第5戦八王子大会の男女準決勝が行われ、男女3名づつの日本人選手が決勝進出を決めた。男女合わせて6名の決勝進出は昨年のミュンヘン大会以来となる。

 3完登が決勝進出ラインとなった男子。6枚のファイナル行き切符を手に入れたのは、楢崎智亜、原田海、杉本怜の日本勢3名と、ガブリエーレ・モローニ(イタリア)、昨年の大会覇者アレクセイ・ルブツォフ(ロシア)、昨季年間王者のチョン・ジョンウォン(韓国)。日本勢トップの2位に入ったのは楢崎。第1課題でつまづいたが、その後3連続完登で盛り返す。完登者が出なかった難関スラブ(緩傾斜壁)の第3課題を一撃すると、会場を埋め尽くした観衆から大歓声が沸き起こった。原田、杉本は2完登で迎えた最終第4課題が見せ場となった。パワーが要される課題でいくつかトライを重ねたものの、最後は持ちこたえTOPを手繰りよせると、両者ともガッツポーズをみせた。同じく準決勝に進出していた藤井快、藤脇祐二、楢崎明智、高田知尭は惜しくも敗退となっている。

杉本怜は今季2度目の決勝進出

 一方の女子では、野口啓代が1人次元の違う登りをみせる。手始めに第1課題を一撃すると、20名中完登者ゼロだった第2課題も一撃し、続く第3課題も一撃。勢いは止まらず、最終課題のスラブも1トライ目で攻略。2位以下が2完登だったのに対し、驚異の全完一撃で首位通過を決めた。彼女に続く2位となったのが16歳の伊藤ふたば。第1課題の完登後、第2、第3課題は完登こそならなかったものの着実にゾーンを獲得。そして最終第4課題を一撃したことが大きなアドバンテージとなって、自身初のファイナリスト入りを決めた。野中生萌も4位となり、昨日伊藤が語った「いつか2人と決勝で戦いたい」という言葉が早くも現実のものとなった。同じく日本から準決勝に進んでいた加島智子は、15位で敗退。残りのファイナリスト3名には、年間ランキング5位のスターシャ・ゲヨ(セルビア)、予選を19位で通過していたアルマ・ベストファーター(ドイツ)、今季躍進を遂げたエカテリーナ・キプリーアノワ(ロシア)が名を連ねている。

加島智子コメント(15位敗退)
「とにかく楽しい課題、楽しい時間でした。あと15課題くらいこのまま続いてくれたらなって思っていました。1課題目が登れたときはめちゃくちゃ嬉しくて、一瞬帰りたいなと(笑)。第2課題はポジションに入れずにホールドが持てなくて、工夫が足りなかったです。第3課題は一手目が少し距離があって、私よりもっと楽な登り方をしている選手がいて、これもアレンジをもっとできたらと思いました。最後は結構好きな課題だったんですけど、5分以内に登るのが私にとっての課題でした。何回もコンペに出ているんですけど、年々日本で開催される規模が大きくなっていて、選手としても嬉しいです」

ショウナ・コクシー コメント(10位敗退)
「日本は好きな大会のひとつだけに、決勝に進めず、ベストパフォーマンスが出せず残念でした。でも、多くの方に応援してもらって、八王子大会に参加できてうれしい。日本人選手の多くが信じられないくらい良いパフォーマンスをしているので、負けないように残り2戦も挑戦していきたいと思っています。(怪我をした)指の具合は良くなってきているけど、もう少し整える必要があると思っているし、自分も早く克服することを望んでいる。(2020年のオリンピックに向けて)トレーニングもしているし、参加して金メダルを取りたいと思っている」

楢崎明智コメント(10位敗退)
「すべてを出し切れれば決勝に残れると思ったので悔しいですね。1~3課題で勝負を決め切れなかったのがダメだったのかなと思います。第3課題は見た瞬間にこれはいけるなとわかったので、リーチを生かして自分らしく登れたと思います。第4課題は強傾斜でガツガツいく動きが苦手で、はじめからできる気がしないと感じてしまったことが問題でした。(兄・智亜と兄弟での表彰台という目標が果たせなかったが)アイソレーションで智くんは残れるから僕が残れればって話していたんですけど、ただ僕の実力が及ばなかったですね。3課題目を登れたのは僕と智くんとチョン(・ジョンウォン)くんだけだったので、そこは良かったと思います」

イェルネイ・クルーダー コメント(8位敗退)
「決勝に進めなくて少し残念だけど、自分なりには良くできたと思っている。(現在年間1位だが)あまり想定はしていなかったけど、今の順位というよりは、クライミング自体を楽しめていることに満足している。(今シーズン調子が良いが)正直分からないけど、登ることを本当に楽しめているので、だから結果もついてきていると思う」

 

<男子準決勝>

1位:ガブリエーレ・モローニ(30/イタリア)/3t4 5 6
2位:楢崎 智亜(21)/3t4 5 7
3位:アレクセイ・ルブツォフ(29/ロシア)/3t4 5 10
4位:原田 海(19)/3t4 8 7
5位:チョン・ジョンウォン(22/韓国)/3t4 8 9
6位:杉本 怜(26)/3t4 17 18
―――――
10位:楢崎 明智(19)
11位:高田 知尭(23)
13位:藤脇 祐二(22)
16位:藤井 快(25)

<女子準決勝>

1位:野口 啓代(29)/4t4 4 4
2位:伊藤 ふたば(16)/2t4 3 6
3位:スターシャ・ゲヨ(20/セルビア)/2t4 4 5
4位:野中 生萌(21)/2t4 4 6
5位:アルマ・ベストファーター(22/ドイツ)/2t4 7 6
6位:エカテリーナ・キプリーアノワ(28/ロシア)/2t3 2 5
―――――
15位:加島 智子(35)

※左から氏名、年齢(大会初日時点)、所属国、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

 
リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから
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CREDITS

取材・文 編集部・篠幸彦 / 写真 JMSCA/アフロ

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