成田空港に帰国した野中生萌

パリ五輪内定の野中生萌が帰国「さらに上のメダルを」

 ボルダー&リード種目でパリ五輪代表に内定した野中生萌が25日、五輪予選シリーズ(以下OQS)第2戦の開催地・ブダペスト(ハンガリー)から成田空港に帰国。報道陣の取材に応じた。

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 はじめに今の心境を問われると「うれしい気持ちでいっぱい」と笑みを見せた野中。五輪出場へラストチャンスの大会だったが「自分でもびっくりするほどプレッシャーは感じていなかった。とにかく目の前のことに集中して自分には何ができるだろう?ということだけ考えていた」と重圧は感じずに臨めたという。東京五輪の銀メダリストは「五輪での感動をもう一度、さらに上のメダルを目指して頑張りたい」とパリへの意気込みを語った。以下、主な一問一答。

――OQS第2戦の決勝を振り返って。
「ボルダーはファイナルで一番いいパフォーマンスができて、唯一の全完登ができたのは本当にうれしかったです。その流れを最後まで持っていきたかったんですけど、リードではシークエンスがうまくいかず少しずつ体力を吸われてしまって出し切れなかった。いい勉強になったし、この悔しさをパリで晴らしたいです」

――この大会がラストチャンスだというプレッシャーは?
「自分でもびっくりするほどプレッシャーは感じていませんでした。思っていたよりもすっきりした気持ちで、笑っても泣いてもあの大会が最後だったので、とにかく目の前のことに集中して自分には何ができるだろう?ということだけ考えていました」

――東京五輪では銀メダルだった。パリに向けた意気込みは。
「東京大会はクライミングにとって初めての五輪で、きっとみんな何が何だかわからないままがむしゃらにやっていたと思う。そこから3年間、海外選手のレベルは上がっていて、簡単な試合にはならないと思いますけど、どこまで自分が上がっていけるのかがすごく楽しみです。五輪での感動をもう一度、さらに上のメダルを目指して頑張りたい」

――今大会での髪色の意図は?
「『進化し続けながら初心を忘れない』という思いを込めて美容師さんがユニコーンカラーにしてくださいました」

――今の自信はどれほどあって、さらに上積みするためにどんな思いでトレーニングしていく?
「金メダルを狙いにいくとなるとやっぱり最強のヤンヤ(・ガンブレット)をみんなが思い浮かべると思いますけど、クライミングの歴史で一番強いといわれる女子選手と戦えるステージにいられるので自分はネガティブに捉えていません。大会ではチャンスがいくらでもあると思うので、そこは諦めずにいきたい。ブダペストでは間違いなく優勝に近かったですし、金につながる登りができたと思います。残りの期間で確実な練習をしていけば金メダルは近いと思っています」

――選考レースを一緒に戦ってきた伊藤ふたば選手をはじめ、五輪内定が決まったあとに仲間たちからはどんな声を掛けられた?
「みんなで抱き合って、これまでの健闘を称え合ったというか。すごい近くで同じ目標を持って頑張ってきていたので『お疲れさま』や『おめでとう』とも言ってもらいました。すごくいい雰囲気でした」

――この3年間で「パリは厳しいんじゃないか?」と思った時期はあった?
「なかったですね。自分のパフォーマンスを最大限に出し切れて、さらに自分のパフォーマンスを押し上げられれば、絶対にパリには行けると思っていました」

―― 一息つく間もなく五輪が始まるが。
「OQSまで詰めて練習してきて、終わった瞬間にもう1カ月でまた新しい本番なので、時間はすごく短く感じます。ただ4、5週間ありますし、そこでできることはたくさんあると思っています」

――気持ちの切り替えをしないといけなかった状況が続いたと思うが、その時に心がけたことや大事にしたことは?
「毎大会終わったら必ずリフレッシュすること。ちゃんと休みを取り入れることはしていました。OQSの第1戦後は体も心も疲れていて、1週間は家でゆっくり過ごしました。そこから次の大会に向けてモチベーションを上げていくように波をつくることを心がけていたのと、あとは『やっぱり行けないかもしれない』とか『誰かが行くかもしれない』と考えるのではなくて、自分のクライミングにフォーカスすること、自分自身にフォーカスすることは登っている時も常に心がけていました」

――オンとオフの切り替えという部分では東京五輪に向かっていく時とパリ五輪に向かっている時で変わってきている?
「東京五輪の時はケガをしていて、やらなきゃいけないことが狭まっていた感じはあるんですけど、今回はケガもなくスムーズに来ているので、ケガをしないようにうまく全体のバランスを取れていますね」

――五輪内定後に野口啓代さんから連絡は?
「まずは『おめでとう』ということと、『ボルダーでもリードでもすごく力強い、気持ちの強さが出たクライミングだった』と言ってもらいました。東京で五輪を一緒に戦って、そこまでの道のりやそこに懸ける思いを一番わかっている人だと思うので、そういう人に喜んでもらえたりそういう言葉をかけてくれたりするのはうれしいです」

――東京で五輪を経験して、パリで生かせるところは?
「どういう緊張感だとか、そういうことはわかっています。そこは経験していない選手と比べるとアドバンテージだと思います」

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取材・文・写真 編集部

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