表彰台に上がった(左から)松藤、森、野中

圧巻のリード完登で森秋彩が2連覇 五輪フォーマットで無敗継続【ボルダー&リードジャパンカップ2023】

 9日午後、スポーツクライミングのボルダー&リードジャパンカップ(鳥取県立倉吉体育文化会館/倉吉スポーツクライミングセンター)の女子決勝が行われ、リードでただ一人完登した19歳の森秋彩(あい)が優勝。前身大会のコンバインドジャパンカップ2022(以下CJC)に続く2連覇を果たした。

 ファイナリストには予選上位の森、中川瑠、野中生萌、久米乃ノ華、永嶋美智華、松藤藍夢、小池はな、伊藤ふたばが名を連ねた。ボルダー第1課題は先頭の伊藤があっという間に一撃。その後も6人が一撃するなどし全員が完登を記録した。スラブの第2課題は伊藤、松藤、森が見事なボディバランスで連続完登。強度の高い一手が続いた第3課題では完登者はさらに減り、松藤が3連続完登した後、野中がトップホールドを手中に収めて会心のガッツポーズを繰り出した。最終第4課題は7人による再びの完登ラッシュ。苦手とするダイナミックな動きをこなした森も最後に登り切り、全完登した松藤が99.8ポイントで1位、3完登した野中、伊藤、森がおよそ15~20ポイント差で松藤を追いかける形となった。

全課題を完登した松藤

野中は第2課題を失敗した後、第3課題を登り切り会心のガッツポーズを見せた

 リードは右斜め上に進んでいくルートで、最も傾斜の強くなる中盤付近で多くの選手が苦しんだ。1手につき2ポイントが与えられるセクションは難なくクリアしていくが、持ち手が小さくなる1手3ポイントのエリアを越え、1手4ポイントに増える最終セクションまでたどりついたのは2番手の小池のみ。その小池も同セクションの初手で力尽きた。完登は不可能かと思われたが、最後に登場したのはリードにおいてジャパンカップ4連覇中、W杯2連勝中の森。女王がどのように中盤以降を攻略していくのか観客の期待が高まると、森はテンポよく高度を上げていき、長い時間のレストを取り入れることもなく、気が付くと最終セクションに突入する。傾斜が緩くなったルートで足をうまく使いながら、およそ1分30秒を残し悠々と完登。場内からはこの日1番の歓声が沸き起こった。

リードで完登する森。観る者を惹きつける圧巻のパフォーマンスだった

 この結果、179.2ポイントの森が大会2連覇を達成。今大会の予選でも首位だった森は、2024年のパリ五輪フォーマットである本種目で昨年10月のW杯盛岡大会、同11月のCJCに続き全ラウンド1位を継続した。2位にはボルダーで見事に全完登した松藤、3位には野中が入った。森は2月のボルダー、リードの各ジャパンカップの成績による複合ポイントで1位タイで並んでいた伊藤よりも上の順位だったことで、保留となっていたパリ五輪出場権の懸かる8月の世界選手権(スイス・ベルン)日本代表1枠目に内定した。今大会で1、2位になれば同選手権代表に内定するが、森が重複したことで2位の松藤のみが内定。残りの3枠を巡っては野中、伊藤らボルダー、リードの各W杯の出場権を持ち、かつ両種目で実際に出場した選手たちの間で争われる。

<決勝リザルト>

1位:森 秋彩(茨城県山岳連盟)
 179.2pt(B 79.2pt/L 100pt)
2位:松藤 藍夢(日本大学)
 138.9pt(B 99.8pt/L 39.1pt)
3位:野中 生萌(無所属)
 132.8pt(B 84.7pt/L 48.1pt)
4位:伊藤 ふたば(デンソー岩手)
 127.7pt(B 79.6pt/L 48.1pt)
5位:小池 はな(川口市立高等学校)
 123.3pt(B 59.3pt/L 64pt)
6位:中川 瑠(日本大学)
 119pt(B 58.9pt/L 60.1pt)
7位:久米 乃ノ華(日本大学)
 104.6pt(B 53.5pt/L 51.1pt)
8位:永嶋 美智華(静岡県山岳・スポーツクライミング連盟)
 92.8pt(B 44.7pt/L 48.1pt)

※上段左から順位、氏名、所属先
※下段左から2種目のポイントを合算した複合ポイント、各種目のポイント(B=ボルダリング、L=リード)

「ボルダー&リードジャパンカップ2023」大会特設サイト
大会公式掲示板(競技順・成績速報などはこちらから)

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

※当サイト内の記事・テキスト・写真・画像等の無断転載・無断使用を禁じます。

back to top