リード競技終了後のアルベルト・ヒネス・ロペスを労う楢崎智亜(左)

楢崎智亜、メダルまでわずかに届かず4位【東京五輪 男子決勝】

 東京五輪のスポーツクライミング男子複合決勝が5日、青海アーバンスポーツパーク(東京都江東区)で行われ、スペインの18歳、アルベルト・ヒネス・ロペス(スペイン)がスポーツクライミング界初の五輪金メダルを獲得。日本の楢崎智亜は1ポイント届かず、惜しくも4位でメダルを逃した。

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 男子決勝には、ミカエル・マウェム(フランス)、楢崎、コリン・ダフィー(アメリカ)、ヤコブ・シューベルト(オーストリア)、アダム・オンドラ(チェコ)、ヒネス・ロペス、バッサ・マウェム(フランス)、ナサニエル・コールマン(アメリカ)が進出。だが、ミカエルの兄でスピード専門選手のバッサが上腕二頭筋の腱を断裂する怪我を負ってしまい、決勝前に棄権。規定により繰り上げはせず、7名で競技が行われた。

 トーナメント方式の第1種目スピードは、バッサの棄権により、その対戦相手だったオンドラが初戦を突破する形となった。ボルダリングとリードに長け、スピードを大の苦手とする金メダル候補のオンドラが4位以上を決めたことでライバルの楢崎は1位を取りたい状況。楢崎は初戦を制すると、予選で0.01秒差だったミカエルとの大一番にも勝利。1位獲得が目前に迫ったが、自己ベストで勝るヒネス・ロペスとの対戦で自らが編み出したショートカットムーブ「トモアスキップ」でスリップ。まさかのミスで大きく出遅れてしまい2位発進となった。

スピードの1位決定戦で勝利したアルベルト・ヒネス・ロペス。右は敗れた楢崎智亜。(写真:ロイター/アフロ)

 第2種目ボルダリングは予選から課題数が1つ減り3つとなったぶん、横幅を広く使った課題が登場。先頭は緩傾斜壁に作られた「歩く系」のスタティックな課題で、楢崎ら5人が一撃で攻略する。続いて「走ってジャンプする」ダイナミックな出だしの第2課題。ここはゴール取りのタイミングで見事にトウフックを決めたコールマンのみが完登する。第3課題はハリボテを円形に並べ中央に寄せた奇抜なデザインの強傾斜課題。ゾーン後のガストンをほとんどが越えられず、完登者はゼロ。これで総合順位はミカエル、楢崎、コールマンの上位3人が6ポイントで並び、ヒネス・ロペスが1ポイント差で追う混戦となった。

第2課題を唯一完登したナサニエル・コールマン。銀メダルに輝いた。(写真:ロイター/アフロ)

 最終種目リードは予選同様に蛇行するルートが取られ、先頭の楢崎は高度33+まで到達。金メダルのゆくえは後続の結果次第となった。すると3番手のコールマンが楢崎を超える34+を計測し、この時点で楢崎優勝の可能性が潰える。その後はリードを得意とする選手が高度を更新。最終競技者のシューベルトが見事な登りで完登し、男子決勝を締めくくった。

リードの最終競技者で唯一の完登を果たしたヤコブ・シューベルト。銅メダルに輝いた。(写真:松尾/アフロスポーツ)

 この結果、スピードで1位を獲得したヒネス・ロペスが総合28ポイントで金、ボルダリングで1位を獲得したコールマンが同30ポイントで銀、リードで1位を獲得したシューベルトが同35ポイントで銅となり、36ポイントの楢崎はわずかに及ばず4位に終わった。ヒネス・ロペスは金メダル確定後、茫然自失といった面持ちでマットの上に佇んだ。

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<決勝リザルト>

1位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)
 28ポイント(S 1位/B 7位/L 4位)
2位:ナサニエル・コールマン(USA)
 30ポイント(S 6位/B 1位/L 5位)
3位:ヤコブ・シューベルト(AUT)
 35ポイント(S 7位/B 5位/L 1位)
4位:楢崎智亜(JPN)
 36ポイント(S 2位/B 3位/L 6位)
5位:ミカエル・マウェム(FRA)
 42ポイント(S 3位/B 2位/L 7位)
6位:アダム・オンドラ(CZE)
 48ポイント(S 4位/B 6位/L 2位)
7位:コリン・ダフィー(USA)
 60ポイント(S 5位/B 4位/L 3位)
棄権:バッサ・マウェム(FRA)

※上段左から順位、氏名、国名
※下段左から各種目順位の値をかけ算した総合ポイント、各種目順位(S=スピード、B=ボルダリング、L=リード)

東京2020オリンピック競技大会公式サイト(詳しいリザルトはこちらから)

CREDITS

編集部 / 写真 長田洋平/アフロスポーツ

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