清水、波田、楢崎明が決勝進出。藤井らは敗退決定/リードW杯2019第6戦 印西大会【男子準決勝】

 27日午前、リードW杯2019第6戦印西大会(松山下公園総合体育館)の準決勝行われ、男子は原田海、藤井快、是永敬一郎らの有力選手が次々と敗退する波乱の展開となった。

 男子準決勝は、なかなか終盤に到達する選手が現れず、ピリッとしない展開となった。名手たちが序盤でフォールしてしまうなど、競技人数を折り返した時点での最高成績は楢崎明智らがマークした高度30+だった。

 しかしカナダのベテラン、ショーン・マッコールが力強いムーブで30+の壁を突破すると、アメリカのショーン・ベイリーもそれに続き、2人は高度34まで到達して暫定首位に浮上する。

 この流れに続きたい後続の原田だったが、スタートしようと離陸した直後に足を滑らせてしまい競技終了。観客もあっけに取られた様子で、まさかの高度1.5+に終わった。

 その後、日本の清水裕登が30+を超えて会場を沸かせると、さらに魅せたのがスペインのホープだった。現在W杯年間ランキングで3位につける17歳のアルベルト・ヒネス・ロペスは、みるみると高度を上げていくと、ゴール取りの体の振られにも耐え、唯一となる完登を記録した。

 残すは予選上位の5人が残っていたが、藤井、是永、フェディル・サモイロフ(ウクライナ)は高度10+で早々と落下。いずれも準決勝敗退となった。

 難度の高いルートに多くの選手が苦しめられた男子準決勝は、ヒネス・ロペスが首位通過。清水、楢崎明に加えて31+をマークしていた波田悠貴の日本勢3人が決勝に進んだ。

唯一の完登で首位通過したアルベルト・ヒネス・ロペス。

日本勢トップは32+を記録した清水裕登。今季第3戦以来の出場で2大会連続表彰台を狙う。

<敗退選手コメント>


杉本怜(12位敗退)
「昨日より自分としては得意なルートだったと思うが、まだまだいけそうというところで落ちてしまったので悔しさが残る。落ちたところは飛ぶ前のポジションが悪くて、出した瞬間に右手がすっぽ抜けてしまった。その前のところでしっかりとレストもできていたので、まだまだいけそうという感覚はあった。(この2戦はトゥールーズの出場がかかった戦いだったが)楢崎明智選手が調子を上げてきていて自分はもっと頑張らないといけないという感じだったが、今回結構ハードルが高くて、目標としては決勝にいきたかった。実力不足だった。予選を見ればまだまだという感じはあった」


是永敬一郎(19位敗退)
「悔しいですね。でもとにかくコンペが久しぶりだったので楽しかった。勝負勘とかが鈍っているので、そこはたくさんコンペに出て戻していかないとオンサイトは厳しいと思った。昨日はフラッシュだったのである程度実力は出せたが、オンサイトとなると感覚とかがまだ狂っているなという感じがした」


藤井快(20位敗退)
「今回は普通に落ちてしまった。何が原因ということもない。気付いたら地面に突っ立っていたという感じ。連戦の疲れが出たのかわからないが、そういうのも含めて色んな積み重ねもあると思う。体というより頭が疲れている感じもある。手を出した先のイメージが思ったより距離が出ていないとか、ブレているとか、そういうのがあったと思う。ああいう外し方をしたのは人生で初めてだった。ボルダーもスピードもその日のうちに修正は効くが、リードは1回で決めなければいけないのでそういうところは難しいと思う」


原田海(25位敗退)
「滑ってしまったので仕方ないと思っている。今年はシーズンを通して安定してファイナルに進出することができたし、成長を感じることのできる1年だった。(去年からどこが変わったのか?)長モノのトレーニングを増やしたこともあり、持久力は明らかに変わった。今シーズンはファイナルに残れることは「やる前から分かっている」と感じるくらい自信があった。ヤコブ(・シューベルト)やアダム(・オンドラ)などのリードのトップ選手とは最後の局面での粘りでまだ差があると感じている。(来シーズンに向けて)次の大会はボルダリングジャパンカップになります。しっかり調整して去年(予選敗退)のようにならないようにしたい」

<準決勝リザルト>

1位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)/TOP
2位:ショーン・ベイリー(USA)/34
3位:ショーン・マッコール(CAN)/34
4位:ステファノ・ギソルフィ(ITA)/32+
5位:清水 裕登/32+
6位:波田 悠貴/31+
7位:ロイク・ティンメルマンス(BEL)/30+
8位:ジェシー・グルーパー(USA)/30+
8位:楢崎 明智/30+
――――――
10位:田中 修太/30
11位:ジェームス・ロペ(GBR)/25+
12位:杉本 怜/25+
13位:本間 大晴/25+
14位:シモン・ロレンツィ(BEL)/25+
15位:セバスチャン・ハレンケ(GER)/25
16位:ニコライ・イアリロヴィッツ(RUS)/24
17位:ヤコブ・コーンクニー(CZE)/22+
18位:フェディル・サモイロフ(UKR)/10+
19位:是永 敬一郎/10+
20位:藤井 快/10+
21位:ルドルフ・ルアーナ(USA)/10+
22位:キム・ハヌル(KOR)/10+
23位:ナサニエル・コールマン(USA)/10+
24位:マルチェッロ・ボンバルディ(ITA)/10+
25位:原田 海/1.5+
26位:マティアス・ポッシュ(AUT)/1.5+

※上位8名が決勝進出
※左から氏名、所属国、成績(到達高度)

リードW杯2019 印西大会特設サイト

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから

CREDITS

取材・文 編集部、篠幸彦 / 写真 窪田亮

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