藤井快、リードに専念へ 男子最多V4のBJCに別れ
日本のボルダー界を象徴する一人、藤井快が、その舞台から一歩退く決断を明かした。1日にあったボルダージャパンカップ(BJC)準決勝後の取材で、今大会をもってBJCから退き、今後はリードに専念すると語った。
「何も言うことはないですね。悲しいだけです」。そう淡々と話した藤井は、「まあ、やっぱり悔しいですけどね」と感情をこぼした。20位で終えたBJCは、藤井にとって最後の舞台となった。男子史上最多4度の優勝を誇るが、「もう過去ですね、それは。いま勝ちたかったです」。積み重ねた実績よりも、目の前の結果を求める。その言葉に、競技者の矜持が滲んだ。
世界選手権での優勝を含め、藤井は間違いなく日本代表を牽引してきた存在だ。しかし本人は「ここ2、3年、まったく対応できていない」と現実を見据える。ケガと33歳という年齢。その蓄積の先で、強度が年々高まるボルダー課題との距離を感じていた。
「単種目に絞る選手も増えている中でボルダーとリードの両方を追っていると、もう間に合わないしできない、と感じていた」。浮かび上がったのが、リードへの転身だった。「どちらかに絞るとしたらボルダーよりリードかなってずっと考えてて。それで、今年でボルダーはお終いにしようかなと思っていました」。昨年の肘の手術をきっかけに、その覚悟はより確かなものになっていった。
視線の先には、2028年のロサンゼルス五輪がある。次大会からボルダー、リード、スピードがそれぞれ単種目で実施される五輪、そして若い世代が台頭する中で、「グダグダ続けるのはつらい」と自ら区切りを描いた。ボルダーは「オリンピック以外は取れているので」。だからこそ、リードでは「もう一回、違う形で取りたいものがある」と新たなモチベーションが芽生えている。
来月のリードジャパンカップがその第一歩となる。成長の手応えについては「可能性は無限だと思いますけど、それがどのスピードで行けるか、(五輪までの)この2年で足りるのかはわからない」と率直に語る。それでも、「やっていることが身になれば、もっと戦える」と前を向く。長く日本の頂点に立ち続けたクライマーは、ロサンゼルスへと続く、新たな時間を走り始める。
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取材・文 編集部 / 写真 窪田亮
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