伊藤ふたば「BJC優勝は一つの通過点」【ボルダージャパンカップ2026|女子決勝後の選手コメント】

 1日に行われたボルダージャパンカップ(BJC)女子決勝は安定したパフォーマンスで3課題を完登した伊藤ふたばが84.8ポイントで3年ぶり4度目の優勝に輝いた。決勝進出者はすでに内定している選手を含めて日本代表権を獲得した。その中から優先順が考慮されて4月のアジア選手権や5月開幕のワールドクライミングシリーズ(以下Wシリーズ、昨年までのW杯から名称変更)などに派遣される。以下、ファイナリスト8人の主なコメント一覧。

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伊藤ふたば(優勝)
「BJCで3年おきに優勝するジンクスが自分の中にあって、それが今年だったので優勝しようと思っていた。カツさん(宮澤克明氏)によるコーチングを始めて一年ちょっと。ベースを上げてきて、やっと形になってきている。自分は肩で登りがちなスタイルで、それだと肩に負担がかかりケガにも繋がりやすい。登りのスタイルをガラッと変える取り組みの結果が今回の優勝に繋がったと思う。BJC優勝は一つの通過点。この流れでWシリーズで結果を残すことが今の一番の目標」
 
 

野中生萌(2位)
「0.3ポイント差と本当にちょっとの差で悔しいが、調子が良くなかった予選・準決勝からの巻き返しは自分の中ではかなり頑張れた。絶対に1課題目は一撃して流れをつくりたかった。思い通りのスタートが切れてうれしかったが、以降のコーディネーション課題やスラブ課題はアテンプトを重ね過ぎてしまい、それが敗因になった。

(4課題目で唯一完登した青柳選手のムーブは想定にあったか?)頭にはあったが登っている時に手が滑(ぬめ)ってきているのもあったしバランス的にも右足を切ってくるのが嫌だという感覚があり、あの登りの選択をしなかった。その点は駆け引きで、その選択ができなかったという感じ。(次回出場予定の3月リードジャパンカップに向けて)昨年はファイナルでいいパフォーマンスが出せたがスリップ落ちしてしまったので出し切りたい思いがある。まずはファイナルに行きたい」
 
 

関川愛音(3位)
「今の自分にしてはでき過ぎの結果。素直にうれしい気持ちとホッとしている気持ちがある。ベストな状態ではない中で表彰台に乗れて安心した感じ。この状態でこの結果が出るということは、運もあると思うが、もっとトレーニングを積んでいければ世界一を目指せると感じた。(去年の世界選手権後にクライミングから離れたという話が予選後にあった。公式戦に戻ってみて)大会前はすごく不安になるし、緊張するし、嫌だなっていう気持ちもある時はあるけど、その中でみんなで一緒に戦う、みんな同じ感情だと思って、それでも励まし合いながら登っていくのがこの大会の醍醐味だと思うし、そういうことも経験できたのですごくいい大会になったなと思う。まだ自分の精神状態をうまくコントロールできなくて、それでまだ嫌だなと思うことはあるけど、うまくコントロールできるようになるとより競技とうまく付き合えるんじゃないかなと思う。

(野中生萌選手の大会前インタビューでライバル・注目選手として関川選手の名前が挙がっていたが?)うれしいです! 生萌ちゃんには経験値もあって気持ちの部分も強いので尊敬するところばかりだけど、若い爆発力や体力的なところでは負けられないので、生萌ちゃんが現役選手のうちに勝ちたいなと思う」

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中村真緒(4位)
「準決勝・決勝と動き自体はそれほど悪くなかった。(自身の)課題である距離に対応できなかった感じ。堀さんやセルジオがセッターチームにいたことで距離感的にはW杯に近いと予想できていたけど…。今大会でそういった課題を体感できたので5月からのWシリーズに向けて強化するポイントが明確になった。良い流れでシーズンをスタートできた。まずはアジア選手権の優勝が目標。もっと自分の強みを強化して、弱いところも人並みレベルには持っていけるようにしていきたい」
 
 

森秋彩(5位)
「苦手な動きを少しずつ克服していると思うが決勝最後の課題は全然対応できず、まだまだという感じで悔しい。やはり脚力を必要とする課題に対応できていない。改善点が明確になったので今大会で決勝に出た意味はあったと思う。リードと並行して頑張っている中で決勝に残って5位は自分の中では頑張ったほうかなと思う。日本代表の権利を得られたのがすごく大きい。(3月のリードジャパンカップに向けて)自分はリードに重きを置いているので、切り替えてリードに集中したい」
 
 

松藤藍夢(6位)
「予選からイージーラウンドで、準決勝も意外と完登系のラウンドで3完登できて決勝に進めた。決勝は1課題目のゴール取りで右手が滑り完登できず波に乗れなかった。12月中旬に腰を痛めてしまい、年明けから登り始めたのでBJCはギリギリ間に合った感じ。不安要素がたくさんあったので代表権は取りたい思いで出場した。代表権を獲得できて正直ホッとしている。ケガ前までは結構強くなっている実感を得ていた。腰を治して、Wシリーズに向けてまたトレーニングを積んでいきたい。アジア選手権もアジア競技大会の選考がかかっていたり、世界選手権2027の選考でもあったりすると思うので優勝したい」
 
 

青柳未愛(7位)
「決勝3課題目は登れるビジョンも見えていたが登れず。言い訳にしたくないが腰も痛くて気になってしまった。競技中も落下したり降りたりする時の衝撃で痛みを感じた。最後の4課題目は集中して、最初は1トライだけすると決めてトライしたら結構いけそうだと思い、最後に決め切れたのは成長できた点。オブザベ時は他の選手の想定と一緒でゴール取りに向けて飛び出すつもりだったが腰が痛くて飛び出せなかった。ここで諦めて降りるのも嫌だと思い一回トウを切って耐えてみようとしたら耐えられてゴールまで行けた。あのムーブは腰が痛かったからと言えばそうなるが、違う考えを冷静に持てた感じ。

大会中も(負傷は)どんどん悪化してしまったが最後までやり切れてよかった。ふたばちゃんにも励まされて、裏でもみんな気にかけてくれたからやり切れたと思う。(日本代表権を獲得するも優先順位は低いため)Wシリーズに出られるチャンスはきっと少ないけど巡ってきたらそのチャンスはしっかり掴んで、前の自分を超えられるような、自分に負けないようなシーズンにしたい」
 
 

倉菜々子(8位)
「1完登もできずに終わってしまって悔しい気持ちが大きい。(完登時にガッツポーズするようになった?)去年ぐらいからちゃんと感情表現しようとしている。ダイナミックな動きだったりで完登した時はガッツポーズしたりするといい感じで次に気持ちを繋げられると感じていた。

(動きにキレを感じたが?)これまではクライミングの技術的な面を意識してきたことが多かった。去年ぐらいから『その課題をどうやって見るか』を考えることが増えた。それまでは理想像に近づける感じで登っていることが多かったが、それを一回捨てて一瞬一瞬の動きをより考えるようになった。今大会も、今までだったら目標として例えば『優勝したい』などが多かったが、今年はまずは目の前の1課題を、1コマ1コマで切り替えて一個ずつ進んでいった感じ。

2年間日本代表から落ちていたので、まずは日本代表に戻るという目標を達成できたことはうれしい。Wシリーズに出られるかどうかは優先順的に微妙なライン。出られるのであればその機会を逃さないように頑張りたい」
 
 
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CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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