パラクライミング優勝の藤咲淳一「うれしい気持ちが一番強い」【IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025|パラクライミング決勝 選手コメント】
IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025(筑豊緑地公園/いいづかスポーツ・リゾート ザ・リトリート=福岡県飯塚市)は26日にパラクライミングマスターの決勝を行い、グループAは藤咲淳一、グループBは黒澤真吾が優勝した。各グループで表彰台に上がった藤咲、前岡ミカ、青木宏美、黒澤、山下和彦、結城周平の6人に話を聞いた。
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■藤咲淳一(グループA優勝/男子B2)
――優勝、おめでとうございます。
「ありがとうございます。素直にうれしい気持ちが一番強いです」
――昨日のワーキングセッションを踏まえて、決勝はどう登っていた?
「まずは強傾斜が終わるまで昨日と同じように登ること。それができているなと思いつつ、昨日会場を離れたあとにサイドガイドの竹内にムーブをだいぶ研究してもらいましたので、その通りに登ることを上のほうでは心がけました」
――それはうまくいった?
「うまくいきました。ただ私の課題として、ちょっとスピードが遅いというところがありまして。残念ながらトップを取った時には6分過ぎてしまっていましたけれども、一応トップを取れましたので、それはよかったと思います」
――終盤でフットホールドを踏むところがかなりスムーズだったように見えた。
「小さなホールドを1つ踏んだんですが、昨日も足を出す自然な位置にちょうどあるので、そこはたぶんいけるだろうなと思っていました」
――国際大会出場は今年から?
「そうですね。昨年度から代表入りはしていましたが、パラクライミングの海外参戦は全額自費になってしまうんですね。我が家には子どもが4人もおりまして、なかなかそういう余裕もありませんでした。今年は韓国で世界選手権があり、なんとしてもそれに出たいということで今年から出始めたということになります」
■竹内麻未(藤咲淳一サイトガイド)
――どんな気持ちでガイドしていた?
「ブラインドの選手たちは記憶力がすごいなと思っていまして、昨日自分が登ったムーブの記憶と、私が補足した部分などを頭の中でうまく組み立てて、それを自然に発揮できていたと思います。使っていないフットホールドもあったんですけれども、藤咲さんらしい登り方、例えばダイアゴナルが得意なんですけれども、そういう登り方で自然に登ったことでゴールまでたどり着けたのかなと思いました」
――登っている時の視界は?
「ほとんど見えていないですね。だから先ほど質問されていた足の粒を見つけられたのは奇跡的だなと思いました。自然な感じで。セッターさんもいいところに粒をつけてくれてたのかなと思います」
――国際大会に出るのが今年からという話だったが、サイトガイドも今年から?
「今年の4月にお願いされて、5月のソルトレイクシティと今回の2回です。でも練習はすごい一緒にやってきました」
――もともと同じジムで登っている?
「でもなく、モンキーマジックさんのクライミング講習会で、藤咲選手が参加者で私はボランティアでビレイをしていたんですけれども、一回だけ藤咲さんをサイトガイドしたことがあって、藤咲選手がソルトレイクシティの大会に出るとなってサイトガイドを探していた時に人づてにお話をもらいました。サイトガイドは今年の2月からなので、経験が浅いんですよね」
――サイトガイドのやりがいは?
「自分が登るのとは違う楽しさがあります。私もクライミングをするんですけれども、自分のクライミングの向上にもなっていると思います。すごくオブザベするようになりましたし、ホールド1個1個についてもすごく考えるようになりました。クライミングだけじゃなくてサイトガイドにも皆さんに興味を持ってほしいなと思います」

■前岡ミカ(グループA 2位/女子B3)
――今の心境は?
「ゴールの手前が取れなかったので悔しい気持ちもありますけど、昨日(のワーキングセッション)より超えられてよかったです」
――長年クライミングをされていると思うが、日本でこういった大会が開かれたことについてはどう感じる?
「急だったんですけど、(同時期に行われる)ラヴァルのW杯にはエントリーもしていなかったのでよかったなと思って。雰囲気もいいし、ありがたかったです。こんなに大きな壁で登ることができたので」
■佐藤健(前岡ミカ サイトガイド)
――どんな気持ちでガイドしていた?
「昨日のプラクティスで行けなかったところをまず超えようと。それは昨日から話をしていて、上部の落ちたところはあそこまで行けたらもう行けるんじゃないかなと思っていたんですけど、完登を逃してしまって残念です。ですが昨日登れなかったところをスムーズに行けたことはよかったと思います」

■青木宏美(グループA 3位/女子B1)
――今の心境は?
「今日はトップまで登るつもりで頑張っていたんですけど、昨日よりは一手だけ多く登れたので頑張れたかなとは思います」
――今後の目標は?
「ずっとメダリストでいられるように頑張ります」
■小島理瑚(青木宏美サイトガイド)
――どんな気持ちでガイドしていた?
「観客の皆さんが宏美さんの登りにだいぶ湧いてくれて、すごく楽しかったです。誇らしい気持ちでガイドができました。昨日より一手も進んだし、長く楽しくガイドできたのでよかったです」
――昨日のワーキングセッションが終わってから2人で話し合ったことは?
「動画の配信を見てムーブを立て直したりして、それをもとに今日のオブザベ時に足の運び方などを伝えたり、オブザベをあらためてし直したりしました」

■黒澤真吾(グループB 優勝/男子B3)
――優勝して君が代を聞いた瞬間は?
「こんなに立派な金メダルを頂きましたし、国歌も流していただいて、ほんまにありがたいなという思いです。みんなに祝福されすぎてちょっと恥ずかしいですね(笑)」
――昨日のワーキングセッションではAルートだった。Bルートに変えた理由は?
「Aのほうは1回で完登できたので。本来は昨日登った課題を今日も登るはずでしたがそれだと登りがいもないので、Bのほうをぜひ登らせてくださいと協会の方にお願いしました。楽しいルートを登りたかったですし、しかも完登できたのでよかったと思います」
――国際大会は今回が初めて?
「15年ぐらい前に習志野であった世界大会があったんですけど、それ以来ですね」
――観てくれた方へのメッセージを。
「初めて僕を選手として見てくれて『一緒に写真撮ってください』と言われてすごくうれしかったですね。パラクライミングの魅力を伝えられたらそういう人も増えてくれるのかなと思うので、もっといい登りをして、いいところを見てもらえるように頑張りたいなと思っています。応援よろしくお願いします」
■北島眞里子(黒澤真吾サイトガイド)
――今の心境は?
「昨日、急きょ課題を変えて練習時間を15分だけもらって、一応バラしは終わっていたんですけど、持久的に持つかどうかというところでハラハラしていました。登っていてヨレているのがわかっていたので、昨日と同じところで落ちるかなと思ったんですけど、そこを越えてくれて。まさかあの核心(を突破するまで)の力が残っているとは思っていなかったので、本当にうれしいです。よく行ったなぁと思います」
――Bルートに変えたいと言われた時の心境は?
「本人はAルートを登る前からBルートを登りたいと言っていたんですよ。Aルートを一撃したあとのインタビューでBルートをやりたいと言ったら、協会の方が配慮してくれて急きょ登らせてくれました。選手のことを考えてくれて、変えてくれる柔軟性があるんだなと。選手のために大会を開催してくれていることにちょっと感動しました。Bルートの仲間たちも移ったことを喜んでくれて、オブザベも協力してくれました。ライバルになるのに情報もくれて。すごくいい大会でした」
――Bルートになったことで、サポートする上で気をつけたことは?
「視力が照明によって変わってきます。その日にならないと見え方もわからず、それで成績が左右されることもあるので、指示のミスかあったらいけないと緊張しましたね。足を探している時に、変に『そこに足あるよ』と言うことでヨレてしまう可能性もあります。それを一瞬で判断するのも難しいので、こちらとしてもすごく緊張しました」

■山下和彦(グループB 2位/男子RP3)
――地元の福岡でメダルを獲得した今の心境は?
「悔しいですね。金を取るつもりで来ていたので。でも今後の取り組みをしっかりやっていこうというきっかけになりました」
――この大会がなければラヴァルでのW杯に行っていた?
「行っていたと思います。飛行機も手配していましたし」
――この大会を選んだ理由は?
「やっぱり応援してくださる方や、家族もそうですし、いろんな方に生で登る姿を観ていただきたいなというのがあって、こちらを選びました。今回新しい内容だったんですけどそれも僕は楽しめましたし、観に来ていただいた方に全力で登る姿で感謝を伝えることができたのかなと思っています」
――今後の予定は?
「11月のジャパンシリーズで優勝すること、そして今年度で1番の目標にしている3月の日本選手権で完全優勝したいと思っています」
――地元の方にメッセージを。
「応援がすごい聞こえていましたし、それが力になりました。これからも応援よろしくお願いします」

■結城周平(グループB 3位/男子AL2)
――今の心境は?
「国内で開催されたこのような国際大会でメダルを取れたことをとてもうれしく思っています」
――登りがかなりハイテンポのように見えた。
「普段からあんな感じですね。できるだけ速く越えるところは越えて、レストできるところできちんとレストしたいという気持ちで挑んでいますが、あまりうまいこといかなかったですね」
――2028年のロサンゼルスパラリンピックで自身のクラスが採用予定だが?
「僕のクラスが実施されることはすごくうれしく思っていますけれども、他にもたくさんカテゴリーがある中で選ばれたので、日本を代表する意味も含みますし、パラクライミングを代表するっていうところもあるので、みっともない姿を見せないように頑張りたいと思います」
――(同時期に開催される)ラヴァルでのW杯に出場しようとは?
「考えていました。(グランドファイナルズに出場しようとしたのは)日本で行われることもありますし、これはアスリートとして正しいかどうかは別ですけど、僕の所属している会社は国内の会社で、海外でタグをつけたりしてもあまり効果があるところではありません。できれば僕を雇ってよかったなと思ってもらいたい、それによって他のアスリートも雇ってもらえるような下地になればいいなという部分も含めて日本の大会に出ることにしました」
――会社の方に伝えたいことは?
「普段から応援していただけるおかげで今回表彰台に立つことができました。今後はより良い順位になれるよう頑張りたいと思います」
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取材・文 編集部 / 写真 © CB/Shutterz
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