パラクライミングマスターに出場した選手、サイトガイド、スタッフたち

国内開催のパラクライミングマスターで藤咲淳一、黒澤真吾が優勝【IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025】

 IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025(筑豊緑地公園/いいづかスポーツ・リゾート ザ・リトリート=福岡県飯塚市)は大会最終日となった26日午前、IFSCパラクライミングマスターの決勝を行い、グループAは藤咲淳一、グループBは黒澤真吾が優勝した。

 スポーツクライミングとパラクライミングの大会が日本で初めて同時開催された今大会。25日は予選を実施予定だったが、出場選手数などを鑑みてワーキングセッションという形に変更。選手たちは決勝とほぼ同内容のルートを15分間の制限時間の中で繰り返し登り、決勝に向けたシミュレーションをしていた。

 決勝には男子11人、女子3人が出場。パラクライミングW杯と日程が重なったこともあり、出場者は日本人が中心で14人にとどまったが、米国とインドの選手が参戦した。パラクライミングの大会では男女別はもちろんのこと、カテゴリーが視覚障がい(B)、上肢機能障がい(AU)、下肢機能障がい(AL)、関節可動域・筋力・その他機能障がい(RP)に分かれ、さらに障がいの程度によってクラス分けされているが、今大会は男女やカテゴリーを問わず2つのグループに振り分けられ、登った高さで順位を決めた。

グループAで登った青木宏美

 グループAは5番手に9月の世界選手権でB1女子を制した青木宏美が登場。B1クラスのためアイマスクを付けて登る青木はサイトガイド小理瑚さんの無線による指示を聞きながら手足でホールドを探り、35手目まで記録を伸ばして暫定首位に立った。

サイトガイドの竹内麻未さんと壁前に移動する藤咲淳一

 次に登る藤咲は今年結成したばかりだというサイトガイド竹内麻未さんとのペアで臨み、時間をかけながら終盤にたどり着く。ゴール下の小さなフットホールドへスムーズに足先を置くなどしてトップホールドに達したが、その直前に制限時間の6分が経過してしまい記録は高度40に。それでも青木を抜いて暫定1位となった。

制限時間により認められなかったものの、藤咲はトップホールドに達した

 最後に登る前岡ミカは61歳の経験豊富な登りで3分ほどを残し終盤に突入する。しかし右手が届かず39+で競技終了。今年国際大会に初出場していた藤咲が金メダルに輝いた。

義足をつけて登る高畑圭吾

 グループBは7人全員が男子となり、1番手から7番手まで登るごとに到達高度が更新されていった。3番手の高畑圭吾(AL2)は右の義足でうまくトウフックをかけるもそのフックが外れてしまい記録は高度29。4番手の世界選手権金メダリスト・安良岡伸浩(AU3)は観客を煽るなどして盛り上げ、高度31で暫定首位へ。5番手の結城周平(AL2)は両手と右足を駆使してアグレッシブな登りを披露。記録は39+で大きく最高到達点を更新した。

結城周平

 6番手の山下和彦(RP3)は記録をさらに6手分押し上げる。トップホールドを右手でつかむも完全にコントロールする前に落下してしまい、悔しい表情を見せたが45+をマーク。地元福岡の地でメダル獲得を確定させた。

完登して笑顔を見せる黒澤真吾

 最後に登る黒澤(B3)は前日のワーキングセッションでグループAが登るルートAを完登し、グループBに変更して決勝に挑んだ。サイトガイド北島眞里子さんの声を頼りに着実に高度を上げていくと、最終盤ではパワーを発揮して歯を食いしばりながら体を引き上げる。最後は右手でつかんでいたトップホールドに左手も移してマッチ。見事な完登で国際大会初出場初優勝を飾った。

<決勝リザルト>

[グループA]
1位:藤咲 淳一(男子B2/JPN)/40
2位:前岡 ミカ(女子B3/JPN)/39+
3位:青木 宏美(女子B3/JPN)/35
4位:前岡 正人(男子B1/JPN)/31+
5位:畠山 直久(男子AL1/JPN)/24+
6位︰栗屋 真実(女子B1/JPN)/23+
7位:岡田 卓也(男子RP1/JPN)/21

[グループB]
1位:黒澤 真吾(男子B3/JPN)/TOP
2位:山下 和彦(男子RP3/JPN)/45+
3位:結城 周平(男子AL2/JPN)/39+
4位:安良岡 伸浩(男子AU3/JPN)/31
5位:高畑 圭吾(男子AL2/JPN)/29
6位︰デヴァ・ラミレッディ(男子RP3/USA)/18+
7位︰サンカディップ・マーナ(男子AU2/IND)/18

※左から順位、氏名、性別・クラス、成績(高度)

「IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025」公式サイト

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取材・文 編集部 / 写真 © CB/Sutterz

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