男女で同じ課題に挑戦も 国別対抗戦の大会ルールとは【IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025】

 10月23~26日に開催されるIFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025(福岡県飯塚市)のネーションズグランドフィナーレは、ボルダーとリードそれぞれで競う国別対抗戦だ。その大会ルールを解説する。

 ネーションズグランドフィナーレには、日本、米国、韓国、豪州、カナダ、イスラエルの6カ国が参戦する。ボルダーは予選、エリミネーションヒート(敗者復活戦)、決勝の3ラウンドで、リードは予選、決勝の2ラウンドで構成。各国は各種目に男女2人ずつの計4人が挑む。優勝国はボルダーとリードのそれぞれで表彰される。

ボルダー

 ボルダーは各ラウンド5つの課題が用意される。2つは男子課題、2つは女子課題、そして最後の1つが男女混合課題。各課題には2人が挑み、混合課題は男女1人ずつが登る。各国は混合課題に送り出す選手を選択する必要があり、コーチの洞察力や判断力も問われる。コーチや選手たちは情報共有が認められる予定で、協力して課題を攻略していく。

 1課題の最高ポイントは登る2人がともに1アテンプト目に完登した場合の50ポイント。計5課題あることから各ラウンドで獲得できる最大ポイントは「250」となる。獲得ポイントが多いほど上位になり、予選上位2カ国は決勝にストレートイン。敗れた4カ国はエリミネーションヒートを戦い、上位2カ国が決勝へ。ファイナルは4カ国で争われる。

【基本ルール】
・高さ4~5mほどの壁を登る。
・各課題にはゾーンと呼ばれるホールドが1つあり、ゾーン到達で10ポイントが、最後のトップホールドを両手でコントロールできれば「完登」で25ポイントが与えられる。
・各課題の制限時間は5分間。制限時間内であれば何度でもアテンプト(試技)できるが、ポイントを獲得した課題に限り、獲得までに失敗したアテンプト数×0.1ポイントが減点される。

リード

 リードは各ラウンド2つの課題が用意される。各国はルートAに2人、ルートBに2人が登り、各ルートは男女ペアで臨まなければならない。ここでもどちらのルートにどのような選手の組み合わせで挑むのか、戦略性が問われる。アイソレーションの概念はなく、前の選手の登りを参考にしながら攻略できるルールが採用予定。

 1人が完登すると100ポイントを得られる。2つのルートに2人ずつが登り、4人全員が完登すると400ポイントに達する。パリ五輪では落下時に次のホールドへ向かって身体の重心移動などがされた場合は0.1ポイント加算されたが、今大会は0.5ポイントがプラスされる。リードもポイント数の多い国から上位となり、決勝は予選を勝ち抜いた4カ国で行われる。

【基本ルール】
・高さ12m 以上の壁を登る。
・ホールドをつかむごとにポイントが加算され、上部に進むにつれてその数は大きくなる。
・ポイントの対象となるのはトップホールドから数えて40手分。1~10手目は各1ポイント、11~20手目は各2ポイント、21~30手目は各3ポイント、最後の31~40手目は各4ポイントが与えられる。
・最後の支点にロープをクリップすると「完登」で100ポイントが与えられる。
・制限時間は6分間。アテンプトは1回限りで落下すると競技終了となる。
・落下時に、身体の重心または臀部が前進し、なおかつ片手あるいは両手を進行方向に沿った次のハンドホールドに向かって動かしたと判断されれば0.5ポイント加算される。
 
 
 独自のルールを加えて実施される国別対抗戦のネーションズグランドフィナーレ。初代王者を目指す日本はボルダーに安楽宙斗、天笠颯太、野中生萌、中村真緒、リードに安楽、吉田智音、野中、谷井菜月が出場する予定。優勝国には過去最高額となる最大1万ユーロの賞金が用意されるという。選手の登りはもちろんのこと、コーチの展開を読む力、そして国際大会での男女共通課題という過去に例が少ない難問を設定するルートセッターたちの“演出力”にも注目したい。
 

IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025

日程

10月23日(木)~26日(日)

会場

筑豊緑地公園 / いいづかスポーツ・リゾート ザ・リトリート
(福岡県飯塚市仁保8-37)

競技種目

・ボルダー
・リード
・パラクライミング

競技スケジュール

10月23日(木)
10:30 ~/リード予選
14:30 ~/ボルダー予選
10月24日(金)
10:00 ~/ボルダー敗者復活戦
18:00 ~/リード決勝
10月25日(土)
10:00 ~/パラクライミングマスター予選
14:00 ~/ボルダー決勝
10月26日(日)
10:00 ~/パラクライミングマスター決勝
15:00 ~/エキシビジョン

「IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025」公式サイト

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 © Dimitris Tosidis/IFSC

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