濱田琉誠インタビュー:ユース世界選手権2025優勝【住友商事 presents Enriching+賞】

 JMSCA(公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会)は昨年、今後のスポーツクライミングを牽引していく次世代のユース選手の支援を強化していきたいという若年層支援パートナーの住友商事株式会社(以下、住友商事)からの申し出を受け、「住友商事 presents Enriching+賞」を新設した。賞名の「Enriching+」は、住友商事グループのコーポレートメッセージ「Enriching lives and the world」に込めた想いを受け継ぎ、未来に向かって新たな価値を“+(プラス)”することを表している。

 今回は今夏に行われたIFSCクライミングユース世界選手権で優勝した4人が受賞した。副賞として日本代表オフィシャルサプライヤー「THE NORTH FACE」のアイテムも贈られる。CLIMBERSでは各選手に同大会でのエピソードを中心に話を聞いた。本記事では男子U17でボルダーとリードの2冠に輝いた濱田琉誠選手のインタビューを掲載する。

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――ボルダーとリードで2冠を達成した今の気持ちから教えてください。
「一昨年はリードで、去年はボルダーで優勝することができて、前からずっと今年の目標に2冠を掲げて頑張ってきたので、達成できたことが素直にうれしいです。ボルダーもリードも最近の大会だと流れが悪く、最後に追い上げてなんとか登り切るみたいな流れが多かったんですけど、今回は最初からいい流れをつくれて、自分のパフォーマンスを最大限に発揮できたのが一番うれしいところです」

――ボルダー、リードともに日本人クライマーを抑えての優勝でした。国際大会の場で日本人同士で争う決勝はいかがでしたか。
「日本人と戦うというよりは、自分のパフォーマンスに集中していました。自分は誰がどうだというのをあまり気にしないタイプなので意識はしていなかったですね」

――ボルダーは決勝全完登での優勝でしたが、全体的に振り返ると?
「予選で『もう少しここを押しておけばよかったな』『登れたな』といった課題がいくつかあり、それを準決勝にうまく繋げられました。準決勝では最後に決め切れましたけど危ない場面が多く、でも決勝ではそこも修正できました。危ない場面は少なく、しっかりと決め切れました。ラウンドごとに反省を生かして成長に繋げられたのが良かったと思います」

――リードでは1手差での優勝でした。決め手になったポイントは?
「決勝のルートは準決勝に比べてボルダー要素が大きいと感じました。一手一手の強度が高いと見ていたので、準決勝とは登りのスタイルを少しだけ変えて、スピード重視で挑みました。それが一番の高度に繋がったのかなと思います」

――自分自身の強みはどこにあると分析していますか?
「ボルダーは苦手な動きをどんどんなくしていこうと考えていて、どんな課題にも対応できるようになってきているところが強みだと考えています。リードはオンサイトトレーニングを日頃からしているので、本番でも練習の100%に近い登りができることが強みだと思います」

――まだユース年代の大会も残っていますが、来年からはシニアの大会にも出場できます。
「シニアになると課題の強度がだいぶ変わってくるはずなので、練習の難易度を少し上げながらシニアの課題にも対応できるように頑張りたいです」

――2年連続でEnriching+賞を受賞されました。住友商事が協賛する、JMSCAのユースクライマーを応援する賞です。あらためて受賞した感想を教えてください。
「住友商事さんのサポートがあってこそユースの代表合宿などができているんだと思います。その代表合宿をユース世界選手権にうまく繋げられた部分もあって、頂いたサポートを結果で返せたことがすごくうれしいですね」

――住友商事グループのコーポレートメッセージ「Enriching lives and the world」には未来に向かって「世界を、社会を、そして人々の暮らしを、より豊かにしていく」という意味が込められています。昨年に思い描いている未来をお聞きしたところ「世界で活躍するクライマーになること」だと話していました。今の心境としてはいかがでしょうか?
「シニアになっても世界でしっかりと表彰台を狙えるような強い選手になることです。今回のユース世界選手権ではいろんな国の選手に話しかけられて、日本の選手ということもあって注目されているんだなと感じたので、みんなから尊敬されるようなクライマーになりたいなとも思います」

――競技人生の目標はありますか?
「できるところまで上に行きたいと思っています。目指すは五輪なんですけど、とにかく上を目指しながら日々頑張っていこうと思います」

濱田琉誠(はまだ・りゅうせい)
2009年1月25日生まれ。神奈川県山岳連盟所属。ボルダーとリードの双方で結果を残す次代のエース候補。国内大会で数々のメダルを獲得し、ユース世界選手権では25年に2冠を達成して計4つの金メダルを手にしている。

住友商事公式オウンドメディア「Enriching+」
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/enrich

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CREDITS

インタビュー・文 編集部 / 写真 窪田亮

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