
表彰台に上がった(左から)シャールック、安楽、イ
安楽宙斗が激戦を制してボルダー世界王者に輝く 最高峰の舞台で光った“決定力”【クライミング世界選手権2025】
韓国・ソウルで開催中のIFSCクライミング世界選手権は大会最終日の28日、男子のボルダー準決勝、決勝を行い、18歳の安楽宙斗が唯一の全完登で自身初の世界選手権優勝に輝いた。
この日午前から行われた準決勝は、予選を通過していた安楽が第4課題を最後のトライで完登し、ただ一人全4完登に達して首位で決勝に進出。楢崎智亜、明智兄弟も5位と8位で8人のファイナリストに名を連ねた。
決勝は第1課題から楢崎智亜が魅せる。3人連続失敗のあと4番手で登場した楢崎は、スイングからのコーディネーションムーブを華麗な手足の連動で完遂して一撃。会場を沸かせると、安楽も悠々と一撃した。
第2課題は観客を向いた状態でスタートし、そこからのジャンプが1つの難所となった。メジディ・シャールック(フランス)とイ・ドヒョン(韓国)が連続完登を決めたあと、安楽は5アテンプトで完登。スタート後のムーブを決めてからは難なく登り切っただけに、スタート時にアテンプトを重ねたことに納得がいかなかったのか完登後は首をかしげるような素振りを見せた。
バランス感覚が問われる第3課題は日本勢3人とシャールック、イの計5人が攻略。全員が第3課題を終えた時点でシャールックが74.5ポイントで首位。安楽とイが74.3ポイントで並び、準決勝順位へのカウントバックにより安楽が2位に。先に第4課題を終えた楢崎智亜が4位にとどまったことで優勝争いは3人に絞られた。
最終第4課題はフィジカルの力を引き出させるような内容で、楢崎明智に惜しいトライがあったものの完登には至らず。シャールック、イもゾーン到達による10ポイント獲得で力尽きた。そして優勝には完登しかない状況で最終競技者の安楽が登場。最初の試技から可能性を感じさせると、次のアテンプトでうまく修正。ゴール下での右手の処理が巧みにハマり、世界王者への一手をつかみ切った。
安楽が初の世界王者に輝いた
最高峰の舞台、それも決勝の最終課題で優勝条件である完登を決める見事な“決定力”で初の世界選手権優勝を成し遂げた安楽は、マットに寝転ぶような形で世界タイトルの味を噛みしめる。その後、ともにファイナルを戦った仲間たちも駆け寄って祝福した。2位はシャールック、3位はイ。楢崎智亜は4位、楢崎明智は5位だった。
<決勝リザルト>
1位:安楽 宙斗(JPN)/99.2pt
2位:メジディ・シャールック(FRA)/84.5pt
3位:イ・ドヒョン(KOR)/84.2pt
4位:楢崎 智亜(JPN)/59.7pt
5位:楢崎 明智(JPN)/44.8pt
6位:ヤン・ルカ・ポッシュ(AUT)/29.7pt
7位:ソルベン・ペリー・ブルーム(GER)/29.0pt
8位:ジャック・マックドューゴル(GBR)/19.8pt
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10位:藤脇 祐二(JPN)※準決勝進出
25位:天笠 颯太(JPN)
33位:杉本 怜(JPN)
※左から順位、氏名、所属国、獲得ポイント
※ポイントはゾーン到達で10点、完登で25点。各課題のポイント獲得までにフォールした回数×0.1点が減点される
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文 編集部 / 写真 © Nakajima/Timmerman/IFSC
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