吉田智音

銀メダルの吉田智音「五輪も見えてきた」【クライミング世界選手権|リード選手コメント】

 韓国・ソウルで開催中のIFSCクライミング世界選手権は26日、男女のリード準決勝、決勝を行い、男子は地元韓国のイ・ドヒョン、女子は絶対女王のヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)が制した。日本勢は男子で3人が決勝に進み、2位に吉田智音、3位に本間大晴が入った。メダルが期待された安楽宙斗は10位で準決勝敗退。日本女子は決勝に進めなかった。男子決勝を戦った日本人選手と安楽、男女優勝選手に現地で取材した。

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■吉田智音(男子2位)
「表彰台を目指していましたが、正直、優勝争いできるとは思っていませんでした。2位という順位はものすごくうれしいんですけど、1位を取れなかった悔しさもあり、しかも敗因がカウントバックだったので複雑な気持ちです。今の自分のコンディションや能力的には五輪も見えてきますし、世界選手権での優勝もはっきり見えました。今後は世界選手権での優勝とロス五輪出場を自分の中の軸にして、これからのオフシーズンでトレーニングしていきたいと思います」

■本間大晴(男子3位)
「すごくうれしいですね。なかなか苦しい時期が続いたんですけど、自分はまだ戦えるんだというか、報われたというか。W杯の日本代表から外れた後も練習を続けていて、腐らずにやってきて本当によかったと思います。もがいて、納得いくまでやる、逃げないということを学べた1年でした。(登りについては?)準決勝からかなりいい登りができていました。決勝も準決勝と同じような戦略で臨み、それがしっかりハマりました。戦略としてはゆっくり行くところと速く行くところの緩急を壁の中でつくらないといけなくて、登る前にその戦略を立てるんですけど、イメージしたことを壁の中でしっかり表現できました。自分の中では満点に近い登りだったと思います」

■鈴木音生(男子5位)
「決勝はすごいハードな内容で、緊張もあって下部からガタついてしまい、自分らしい登りはできなかったと思います。初めての世界選手権だったのでやっぱり緊張しました。今シーズンを締めくくる集大成の大会としては、来シーズンに向けてしっかり準備を進めていけるための材料となるような内容ではあったので、この結果をしっかりフィードバックしてシーズンオフのトレーニングに生かしていきたいです」

■安楽宙斗(男子10位/準決勝敗退)
「10位という結果で終わってしまったんですけど、課題のタイプは僕寄りではなくて、ずっと苦しいパートが続きました。これは今シーズンを通しての課題で、自分の得意としない動きでもうまくモノにして、いかにレストしたり落ち着いたり、自信を失わないか。僕は肩の筋肉などが他の選手より強くないので、そういうところでも差がついたと思います。リードでは中盤の悪いパートで肩の力が必要とされることが多いです。自分の中にあるこれらの課題を完全には処理できず、それで負けたという感じです」

――最後のパートはゆとりがあるようには見えたが、実際の疲労感は?
「疲労感は限界で、最後の右に行くところは張っていました。いつもならそこで落ちていたところを2、3手ぐらい伸ばせました。そこは世界選手権に向けて重点的にやってきたところで粘れたのは良かったんですけど、リードって中盤が一番ムーブの強度が高くて難しい中で、その中盤で頭に体が追いつかない感じが出てしまいました。まだ自然と無意識にできる状態ではなかったのが一番の敗因だと思います」

――あさって28日のボルダー準決勝、決勝に向けて。
「僕は何も考えないで登るとボルダーの登り方に近くなるので、そのボルダーでは感情を前に出して強気に挑めると思います。今から気持ちをしっかりつくって、課題のオブザベにも気をつけながら、リードがダメだった分、ボルダーのことだけを考えてあさって頑張りたいと思います」

■イ・ドヒョン(男子優勝)
「地元のソウルで初の世界選手権を登れたことに感謝しています。決勝に向けてかなりナーバスになっていましたが、歓声を力に結果を出すことができました。今大会で戦った素晴らしいクライマーと今後も競い合っていきたいと思います。世界選手権で優勝することがずっと夢でした。今日はまさに夢が叶った日です」

■ヤンヤ・ガンブレット(女子優勝)
「準決勝から調子が良く、決勝もその調子のまま、自分が何をすべきかわかっていたので思い描いた通りに自信をもって登れました。大会を重ねるごとにどんどん課題は難しくなってきている中で獲得できた今回の金メダルは格別にうれしいです。(1位と2位がスロベニア勢。国にとってこのメダルの意味は?)2019年の八王子での世界選手権で私とミア(・クランプル)が表彰台に上がり、今回も2つのメダルを手にできて、スロベニアの成功という意味でもうれしく思っています。(2位の)ローサ(・レカー)は驚異的なクライマーであり、それ以上に素晴らしい人物です。今後数年間で彼女のキャリアがどこへ向かい、どこまで到達するのか、心から楽しみにしています」

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 © Nakajima/Timmerman/IFSC

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