
藤野柊斗
藤野柊斗「まだまだ練習が必要」【クライミング世界選手権|男子スピード選手コメント】
韓国・ソウルで開催中のIFSCクライミング世界選手権は25日、男子スピード予選・決勝を行い、中国のロン・ジェングオがレースを進めるごとにタイムを縮めて初優勝を飾った。日本勢は5人が出場し、藤野柊斗が決勝トーナメントに進出して16位だった。日本人選手とロンに現地で取材した。
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■藤野柊斗(16位/決勝トーナメント進出)
「(決勝初戦で銅メダルのザック・ハマーと対戦したが)相手が相手だけに攻めるしかなかった部分もあって、攻め過ぎた分、失敗してしまい反省です。調子は合わせられましたが、まだ自分の弱さがあります。決勝という舞台で4秒台にはいきたかったですが、まだまだ練習が必要ですね。(2年前の前回大会は42位だったが?)前回が5秒81で、2年で約0秒8速くなっているので成長は実感しています。公式の自己ベストは今大会で出した5秒07秒ですが、練習で4秒台(4秒95)は出せているので大会でも計測できるようにしたいです。来年はアジア競技大会での優勝も目指したいです」
■大政涼(22位/予選敗退)
「予選の1本目から思うような登りができませんでした。まだまだでした。(W杯年間3位と結果を残せたことで自信はあったのでは?)そうですね。自信はありました。前回2年前の世界選手権は決勝にいけるかわからないような状態で挑んでいて、今年は表彰台に上るつもりで臨みましたがまったくダメでした。そこまで緊張はしておらず、何がダメだったのかわからない状態なんですけど、動画を見てダメなところを徹底的に分析したいです。(強豪の中国勢について)体型、体格、身長など似ている部分があるので参考になります。同じムーブの中でも足の上げ方といった細かい部分で学ぶべき点はあると思います。2年後の世界選手権は五輪の予選に関わる可能性があるので、そこでの優勝を目標に取り組んでいきたいです」
■田渕幹規(29位/予選敗退)
「悔しいですね。順位もそうですけど、世界ユース前にケガしてしまって、2カ月間練習できませんでした。その中でできる部分をやってきた結果が出せた部分もあれば、全然ダメだった部分もあったので、そういう面で悔しいです。今後のタイムの目標は4秒6や4秒7は出せるようにしたいです。その先の目標は五輪で金メダルを取ることなので、来年からはW杯に全戦出場してケガなく戦えるようにしたいと思います。自己ベストは非公式で5秒07、公式で5秒22か5秒21秒です」
■安川潤(32位/予選敗退)
「大会の雰囲気はすごく楽しかったんですけど、結果を出せず残念でした。この1年、この大会に向けて準備していたので悔しいです。僕の中では予選で5秒0が目標でした。空回りしてしまいましたね。今シーズンはずっと調子が上がらず、その中でも体力面や精神面で調整して成長できた部分はあったんですけど、技術的にかなわなかったです。来年は4秒9、4秒8は安定して出さないと話にならないと思っています。そこが出せないと大会にも出ていけなくなるのかなと。自己ベストは非公式で5秒03、公式で5秒11なので、まだまだ足りないですね」
■大西月華(42位/予選敗退)
「今年からシニアの大会に出られるようになり、今大会で3回目でした。対戦する選手も画面で観ていた選手で憧れがありました。もちろん負ける気はなかったんですけど、経験することの大事さを感じました。(結果については)ベストの登りができなかった結果ではありますが、ベストが出せても決勝に残るのは難しかったと思うので、来年からシニアで決勝に残れるようしていきたいです。次の目標は来年も日本代表に入ってたくさんW杯に出場して力をつけること。タイムは5秒0から5秒を切るところを目指したいです。今の自己ベストは公式、非公式ともに5秒21です」
■ロン・ジェングオ(優勝)
――金メダル獲得の率直な感想は?
「今年で最も重要な大会である世界選手権で優勝できてとてもうれしく思っています。そして最高のパフォーマンスを見せてくれた多くのクライマーに感謝しています。他の選手からのプレッシャーや記録が自身のパフォーマンスを引き上げる原動力になりました。素晴らしいチームメイトのサポートのおかげで手にできたこの金メダルには大きな意味があり、チームとして目指していたものが実現できて、今日は特別な日になりました」
――今大会はどのような気持ちで挑みましたか?
「今までの大会ではないくらい、リラックスして挑めました。自分でもどうしてここまで落ち着いていられたのかわかりません。でも今日は特別な感覚で挑めたことが結果につながったと思います」
――今後のライバルは?
「ファイナリストのタイムはかなり近いものになっていて、決勝に残った16人全員に優勝の可能性があったと思います。中国も基礎を固め、しっかり戦えるチームになってきました。本当に良い練習パートナーが身近にいますし、全員がライバルになります。来年が楽しみです」
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取材・文 編集部 / 写真 © Nakajima/Timmerman/IFSC
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