W杯ボルダー第1戦で優勝した安楽宙斗

安楽宙斗「冷静にムーブを選べた。ブラジルでも優勝したい」【ボルダーW杯第1戦後のコメント】

 4月18~20日に中国・柯橋で行われたクライミングW杯ボルダー第1戦は日本男女6人ずつが出場、3人ずつが決勝に進出し、安楽宙斗が男子を制した。日本代表チームは21日に成田空港へ帰国。空港で安井博志ヘッドコーチ、安楽宙斗に話を伺った。

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■安井博志ヘッドコーチ
――まずは初戦を終えた日本代表チームの全体的な総括からお願いします。
「初戦から男女とも可能性のあるトライができていてすごく良かったですね。予選を全員が突破したことで雰囲気も良くなりました。決勝に男女3人ずつ進みましたし、男子は優勝もしました。素晴らしい初戦だったと思います」

――男子は安楽選手が優勝、楢崎兄弟も接戦で上位争いを演じました。
「あらためて日本人選手は器用だなと。ムーブの発想が良かったです。他国の選手はどう動いたらいいか理解できずに苦しんでいるように見えました。特に安楽は冷静に対応できていて成長を感じましたね」

――日本女子の印象はいかがですか?
「野中が1課題目を唯一完登したことで圧倒的に良い展開でしたから、本人も悔しいとは思うんですけど、それでも次につながる良い決勝でした。中村もスラブがしっかり登れ、関川は最終課題で唯一ゴールタッチができました。それぞれの選手の良い部分が見えて、日本チームにまた自信が湧くような決勝ラウンドになったと思います」

――今シーズンから導入されたポイント制はオールラウンダーが上位に入る方向性だと思います。その辺りで次戦に向けた課題は残っていると思いますがどう捉えていますか?
「どんな課題でも登る力はそれぞれが持っていますので、決め切ることがもう少しできればとは思っています。焦ってたくさんトライするなどの対応をしてしまうと、フィジカル要素の強い課題が多い場合は消耗が激しくなりますし、今大会は気候的に蒸し暑かったこともあります。そういった中で、やはり少ないトライ数で登れる選手が上位に来るという点は感じました」

――次回のボルダーW杯はブラジルのクリチバ(5月16〜18日予定)で行われます。
「ブラジルは出場する選手層が薄くなりそうだと聞いています。予選や準決勝よりも、決勝でどれだけのパフォーマンスを出せるかだと思います。セッターの陣容的に課題はフィジカル重視になることが想像できるので、しっかりコンディションを整えて臨みたいですね」

■安楽宙斗
――初戦で見事に優勝しました。
「純粋にうれしいです。オフシーズンに2024年の改善点をまとめて、常に考えながら練習してきました。準決勝も決勝も、躊躇しないことや1トライ1トライの切り替えなど、その練習成果が現れたこともすごく良かったと思います」

――決勝の第1課題、1トライしたあとに2分ほど時間を空けて、2トライ目に見事完登でした。何を考えていましたか?
「どうしたら確実にいけるのか、常にずっと頭を回して考えていました。落ち着いてトライするように心がけていて、迷った時でも冷静にムーブを選べたと思います。今までは自分の世界に入り込んじゃうことが多かったんですけど、客観視できているといいますか。時間に追われている中で、それをあまり感じずに落ち着いてトライできたことが大きかったと思います」

――次回のボルダーW杯はクリチバ大会に出場予定です。
「もちろんブラジルでも優勝したいですね。この1位も反省点は何個かあると思うので、しっかり洗い出して臨みたいです。今回は準決勝でスラブ課題ができずに2位だったので、次は確実に一個一個仕留めて“オールラウンド全完”での1位を狙いたいと思います」

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