まさかの予選敗退となったボルダリング世界王者・原田海

世界王者・原田海、まさかの予選敗退/第14回ボルダリングジャパンカップ【男子予選】

 26日午後、女子に続いて行われた男子予選が終了し、20名の準決勝進出者が決定した。大会3連覇中の藤井快、楢崎智亜らが突破を決めた一方で、2018年世界選手権ボルダリング王者の原田海がまさかの敗退となった。

 Aグループの一番手は楢崎智亜。オリンピック日本代表候補筆頭は2課題目まで一撃で進めるも、第3課題で苦戦。「体のポジションのイメージがずれていた」としながらも最後は左足を上げて体を安定させてことで残り3秒での攻略となった。その後の2課題も1トライ目で完登し、グループ2位で予選通過を決めた。そして3番手で登場したのは世界王者・原田海。第1、第2課題はそれぞれ2アテンプトで完登したものの、その後に失速。直前に体調を崩したことによる調整不足も影響し、「ムーブを考えるのも、フィジカル的にもハードな課題ばかりだった」と、第3課題から立て続けに完登を逃してしまう。結果的には2完登にとどまり、グループ12位で世界王者として迎えたBJCを終えた。一方、トップに立ったのは17歳の土肥圭太。昨年のユースオリンピック複合金メダリストは、わずかなゾーンアテンプト数の差で楢崎智をかわし、自身初のBJC準決勝進出を首位で決めた。

 一方、全完登が出なかったBグループで首位通過を果たしたのが杉本怜。他の選手と同様に足を滑らせてしまい第3課題はTOPまで至らなかったが、それ以外は少ないアテンプトでまとめ、最後は観客に手を振る余裕もみせた。難関の第3課題を出場選手で唯一完登し、完登数4で杉本と並んだ前回王者の藤井が2位に、出番直前の故障で昨年は悔しいリタイアとなった楢崎明智が3位に入っている。

 男女同時進行で行われる準決勝は、明日の9時30分から行われる予定だ。

 

原田海コメント
「こんなに登れないとは思っていませんでした。焦りは特に出ず、ただ難しかったです。ムーブを考えるのも、フィジカル的にもハードな課題ばかりでした。直前にインフルエンザにかかってしまい、調整ができていなかったのもあると思います。世界選手権から間が空いていて、最後まで感覚を掴み切れなかったというか、大会の難しさを改めて感じました。(今シーズンの目標は?)最大の目標は8月の世界選手権です。一番狙っているのはボルダリングの2連覇で、連覇すればコンバインドでもいい結果が出ると思っています」

 

楢崎智亜コメント
「始まる前はかなり緊張していましたが、色々なタイプの課題がある中で5つしっかりと登ることができホッとしています。しばらく大会に出ていなくて、トレーニングだけだったので不安でした。3課題目にハマってしまい残り3秒での完登は反省ですが、同じようなシチュエーションが予想される明日の準決勝以降に向けては、あそこで足を滑らせなかったのは良かったと思います。(今大会の目標は)BJCで優勝したことがないので優勝したい気持ちもありますが、完璧に仕上がってはいないので、この冬にしてきたことがどれほどなのかの確認もしたいです」

 

藤井快コメント
「最近のBJCの予選の中では群を抜いて悪いなという印象があります。1課題目を登れず『やっちゃったかな』と思い、ヒヤヒヤしました。1トライ目で足が滑って悪い印象を持ってしまったのが登れなかった原因の一つだと思います。ただ、その後をしっかりと登れたので、立て直し方としては100点でした。(去年のW杯よりも今年のBJCの方が)きつい、しんどい課題でしたね。結果的に登れましたが、全てが1回で登るのか、休むのか、そういう駆け引きをされる課題でした。明日はハードなラウンドになることが予想できるので、今日の調子のままだと準決勝で落ちてしまう。明日に向けてしっかりと調子を上げていきたいと思います」

 

杉本怜コメント
「年末のレスト明けからトレーニングもまだ途中の段階だったので不安要素がかなりありましたが、体がしっかりと動いてくれて明日につながる登りができたと思います。(完登できなかった)3課題目はムーブがよく分からない状態から登り始めてやっているうちに分かってきたのですが、5分間のうちに攻略するのは難しかったです。4課題目に強傾斜が来るというのが分かっていたので、無理をせず温存して少し控えめなトライになりました。僕はBJCで良い成績を残さないとオリンピック強化選手のランク的にも危ないので、できる限り頑張りたいと思います」

 

楢崎明智コメント
「多少は緊張しましたが去年出られなかった分、今年は出られると思いそこまで緊張はしませんでした。(昨年のアジア選手権で故障した)手首の調子があまり良くなくて、強傾斜のアンダーは難しいと感じていたので、それまでに(上の順位にいくため)3つ課題を登れて良かったです。今大会は今ボルダーの力がどれくらいあるのかを確かめる大会でもあります。明日はとにかく登れる課題は全部登って、行けるところまで行きたいです」

 

<男子準決勝進出者>

Aグループ
1位:土肥 圭太(18/神奈川県立平塚中等教育学校)/5t5z 9 7
2位:楢崎 智亜(22/TEAM au)/5t5z 9 9
3位:井上 祐二(23/福井県山岳連盟)/5t5z 10 10
4位:村井 隆一(24/千葉県山岳連盟)/4t5z 4 7
5位:高田 知尭(23/鳥取県山岳・スポーツクライミング協会)/4t5z 9 10
6位:石松 大晟(22/Base Camp)/4t4z 4 4
7位:川又 玲瑛(15/宇都宮市立瑞穂野中学校)/4t4z 7 5
8位:北江 優弥(20/無所属)/3t4z 4 6
9位:島田 蒼也(24/大分山岳連盟)/3t4z 5 4
9位:野村 真一郎(22/茨城県山岳連盟)/3t4z 5 4

Bグループ
1位:杉本 怜(27/マイナビ)/4t5z 6 8
2位:藤井 快(26/TEAM au)/4t5z 7 8
3位:楢崎 明智(19/TEAM au)/3t5z 3 6
4位:渡部 桂太(25/住友電装)/3t5z 7 9
5位:緒方 良行(20/神奈川大学)/3t5z 8 9
6位:本間 大晴(19/日本大学)/2t5z 3 5
7位:樋口 純裕(26/佐賀県山岳・スポーツクライミング連盟)/2t5z 3 6
8位:名嶋 祐樹(20/Base Camp)/2t5z 4 9
9位:波田 悠貴(21/埼玉県山岳連盟)/2t5z 4 10
10位:天笠 颯太(18/神奈川県山岳連盟)/2t5z 5 10

※左から氏名、年齢、所属先、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

CREDITS

取材・文 編集部・篠幸彦 / 写真 大杉和広

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